昨年に続き、「みんなが選ぶ!!電子コミック大賞2021授賞式」に登壇予定だったロンドンブーツ1号2号の田村淳さんが、「勝手に授賞式」を動画で開催し、自ら受賞者及び投票者の皆さんへのメッセージを発信してくれた。
昨年、「漫画はひとつの学びの場」と語った漫画を愛する田村さんに、改めてその魅力を語ってもらった。
前回の電子コミック大賞授賞式から、漫画との向き合い方は変わりましたか?
2020年に入って自分の時間が増えたので、以前に比べて漫画と向き合う機会も増えました。
日々の中のちょっとした空き時間に読むだけで、有益な情報を手に入れられる漫画は、やっぱり自分にとって大きい存在だと思ったんです。
ただ、去年から今年にかけてずっと修士論文に取り組んでいたので、自由な時間をすべて漫画に振り切ることはできませんでした。
この一年間、公私ともに忙しく過ごす中で、新たに漫画から手に入れたものは何でしょうか?
最近得たのは、自分が思うように、自然に生きるべきだということ、です。
世の中、無理矢理なことや違和感を感じることが多いんですけど、いかにその裏にある真実にフラットに向き合えるかを考えるようになりました。
そのきっかけになった作品を教えてください。
『波よ聞いてくれ』(沙村広明著)や『ちひろさん』(安田弘之著)です。
無理してセンセーショナルな見出しや意見を言ったりするということ自体が不必要に感じて。
そんなこと、実はみんな求めていない。
この世の中には、当たり前のように不自然なことが紛れ込んでいて、それに気づけないまま過ごしているということを、漫画を通して知ることができました。
やっぱりおかしい、変だと感じた気持ちを、ちゃんと素直に口にしないとダメだと思いました。
昨年のインタビューで、「好きな漫画を聞くことや自分が勧めた漫画をどう読むかによって、その相手を知るきっかけのひとつになる」というお話を聞きました。最近、誰かに勧めた、勧められた漫画はありますか?
人に漫画を勧められることが多いですね。
今人気の『呪術廻戦』(芥見下々著)はノンスタイル・井上に教えてもらいました。
物語やキャラクター設定はもちろん、展開もテンポが早くてすごく面白い。
彼のように、熱量を持って紹介する人がいるってことは、その作品自体にものすごい魅力があるということですよね。そんな漫画を読みたい。
相手から勧められた作品を読もうと決める瞬間は何ですか?
勧めてくれる方のプレゼンテーション能力が、その作品を手に取る確率に完全に比例しています。
『ちひろさん』も知り合いの話を聞いて、すごく惹かれた漫画です。推薦者の言葉を聞いて、気になるワードやコメントがどれくらい出てくるか、それに自分のアンテナがどれくらい触れるかが決め手だと思います。
読む漫画を決める時に、ジャンルやカテゴリは関係ないですか?
そうですね。女性モノ、男性モノなど、小さい時からジャンルを区別して読んでいません。
興味関心を持てば読むという。
僕の母さんがそういう読み方をしていなかったので、その影響があると思います。
最後に、今回の受賞作品の中で、興味を持った作品を教えてください。
今年新しくできた「異世界部門賞」を受賞した『異世界に救世主として喚ばれましたが、アラサーには無理なので、ひっそりブックカフェ始めました』(和泉杏花著)や、ラノベ部門賞に輝いた『絶対結婚するマンvs絶対結婚しないウーマン』(緒莉著)は、タイトルがとても気になりましたし、結婚をめぐる男女関係や異世界でカフェを開くといった展開に興味を持ちました。
修士論文を書いている期間はあまり作品を探す時間をなかったので、落ち着いたらまた電子書籍で見つけたいと思います。
1973年12月4日生まれ、山口県出身。吉本興業所属。お笑いコンビ「ロンドンブーツ1号2号」のボケ担当。本来はボケ担当だが、相方の亮が天然ボケのため仕切ることが多い。コンビとして活躍する一方、安定した司会ぶりが高い評価を得ており、個人でも多くのバラエティー番組に出演。料理や音楽等、様々な分野に精通している中で、メディアミックス作品『ラブライブ!』シリーズのファン“ラブライバー”としても知られ、急速にアニメ好きになっていく様子が話題となった。
twitter:@atsushilonboo