獣人ものは避けていたけど、『極夜』に収録されていた『鴆』の番外編も読みたくて、挑戦しました。顔と胴が人間型なのでギリいけるかな……と。結果、内容が良すぎて、見た目は気にならなくなりました。ツァイホンの額のポワンと丸い羽毛が可愛く見えてくるほ
ど、ハマりました!
まず、鴆という設定がすごい。生きるために毒を取り込み、毒による美しい色を誇りとし、その美しさゆえに人間の権力者に囲われるという、鴆の存在そのものが切ない。そんな鴆を慈しみ育てる鴆飼も切ない。
ストーリーは1・2作目ともにサスペンス要素があって、先の読めない展開に惹きこまれました。でもこの作品の要は、真相が明かされてあっと驚くこと、ではないんです。そこに秘められていた想いの深さに、涙せずにはいられない。真相を知った上で二読、三読すると、さらにその気持ちが読み取れて、何度も泣いてしまいます。
1作目は、鴆飼の兄弟と、それぞれが育てた鴆たち、四者四様の想いが交差する話で、恋愛よりも鴆と鴆飼の絆が素晴らしいです。主人公たちの恋は、これからやっと始まるというところで終わってしまうので、その点はものたりなく感じるかも。でも、巻末の描き下ろしと、『極夜』収録の番外編、『比翼の鳥』での二人は甘々です。私は、黙って受け止めてくれるフェイがめちゃくちゃ好みなので、眼福です!
2作目『比翼の鳥』は鴆×鴆、しかもリウシンがヤンデレっぽくて理解しにくいキャラで、はじめはどうかと思ったけれど、やっぱり泣かされました。寄り添う少年時代の二人が可愛い。
最後は何もかも丸く収まるのではなく、みんな何かを捨てたり、諦めたりする。それでも愛する人と一緒に生きていく、幸せな物語でした。
ちなみに……2作目第1話〜第4話の扉絵は、横に繋がっていく絵になっています。
フェイ画伯の描く絵もなかなか味わい深いので、拡大して見てほしいです (^^)
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