英田先生の作品は、『DEAD LOCK』にはまりコンプリートした後『エス』で虜になり、『ダブルバインド』でダントツの推し作家さんになりました。↑これらの作品は警察関連の話なので事件・事故が起きて時にアクションありミステリーありの推理ものです
が、今回は恋愛ものでした。純粋な恋愛ものでは『恋ひめやも』が好きで印象深いのですが、私の中では似たような葛藤や切なさのある作品だと思いました。一聡が愛した人の息子に執着したのは、愛ゆえというより意地みたいなものだったのかなと推察します。男であるが故に社会的に「家族になれない」と切り捨てられるとしたら、やるせないを通り越して精神の均衡を保てなくなる程の苦痛に襲われると思います。遺言に反して我を貫き手元に置いた俊に対して、後ろめたさや迷いが出てきてしまうのは仕方ないと思います。むしろ、そういう感情が湧かない方が人としてどうかという気がしますし。「恋はするものではなく落ちるもの」、「理性で御せるうちは恋ではない」のではないでしょうか。恋の先にあるのが愛だとしたら、一聡の草平と俊に対する想いは確かに愛なのだと思いました。読み始めは、設定から王道ストーリーをイメージしましたが、大宮と一聡・俊と幸彦・大宮と俊と一聡の関係や墓参り、の展開など、数々の小さなイベントがなかなか大きな衝撃を連れてやって来るので、最後までハラハラしながら読みました。私は時々、本編と関係のない脇の設定がツボだったり、興味を持ってしまう質で…今回もラストの大宮の展開が妙にツボに入って面白かったです。更に勝手に大宮と幸彦の線を考えて一人「アリかも」とニヤニヤしてしまいました。一つ注意事項として…先生のファンの方でも地雷がある場合は、レビューで確認してから読んだ方がいいと思います。
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