特許の先使用権制度に関しては、特許法79条に僅か1つの条文が存在するのみですが、重要かつ複雑な論点が多数存在します。また、ウォーキングビーム事件最判が判断規範を示した後も、先使用権の存否・効力を巡って多くの紛争が発生しており、未解決の事実及び法律上の論点も多いのが現状です。しかしながら、先使用権について様々な論点を網羅し、裁判例の傾向を踏まえて実務的に解説した書籍・文献は多くありません。このような状況に鑑み、本書では、以下に示す3つの視点から、先使用権に関する情報提供を試みられています。1 ウォーキングビーム事件最判以降の動向を正確に把握すべく、平成以降になされた60を超える裁判例を収集、判断概要を紹介2 裁判例及び学説に基づき、特許の先使用権に関する論点を網羅的に捕捉し解説。3 弁護士の観点から、企業が常日頃より留意しておくべき発明管理施策を詳細に説明。本書では、日頃特許権侵害訴訟業務の処理にあたっている弁護士・弁理士の筆者が惜しみなく情報を提供しています。先使用権の確保を試みる企業その他の関係者はぜひお読みください。