2021年9月に当サイトで行われた幻冬舎アウトロー文庫のセールで意外な安値に驚きました。率直に言って、これは良作です。主人公は弁護士の40代後半の男。弁護の依頼者の地元に何度も出張するなかで出会う4人の女性たちとの遍歴を綴った作品ですが、性
描写が他の作品に類を見ないほど繊細かつ濃密に描かれ、著者の筆に宿った魂を感じさせるオムニバスとなっています。多少、SM色を帯びた展開も散見されますが、倒錯を感じさせるには至らないソフトなレベルで違和感なく読むことができます。他の書評を参照すると京言葉がどうの・・・という向きもありますが、著者お得意の「和」にプラス、舞台の京都の雅味。これにて藍川女史の自家薬籠中、と相成ります。主人公の逢瀬の相手である女性は3人が熟女といっていい世代。1人が処女の大学生。うら若き彼女の存在が作中でのアクセントになっているとも言えますが、いかんせん若いヒロインは藍川ワールドとの相性が良いとは言えないのでは、とも思い星四つとしました。とはいえ女史の文業のなかでも脂のノリを感じさせる好著であることは間違いありません。ぜひお手に把られんことを薦めます。
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