短編集だが、冊子のタイトルから未亡人ばかり主人公とした作品群が収められているのかと思いきや、寡婦がヒロインとなる作品はひとつのみ。完成度の点から言っても藍川作品の最大の武器である淑美の雰囲気を感じさせるものは最初に登場する上述の作「緋の菩薩
」だけで、全体的に物足りなさが残るのは否めない。それでも、時代小説は書かないと著作で述べていた藍川女史には珍しく大正期を彷彿とさせる時代背景の作品も含まれ、「攻めている」なと思わせるものもある。星は悩んだ末、3つとした。「緋の菩薩」、続編を読みたいものである。
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