掌編集です。
作者らしい、陰惨で、罪も無い若い女性がひどい目にあったりする、胸糞悪い話が延々続きます。とくに毎話はっきりしたオチがあるわけでもなく、ただ理不尽に終わったり...。
個人的には特に『花嫁の舌喰い』が嫌でした。
末尾の、故郷で実際あった話ですという注意書が最大の驚き所でした。そう思って読むと、都会から来た余所者への反発や、科学的な分析結果より僧侶の解説を信じるところなど、近代化途中の日本の農村の様子がうかがえて面白いです。
最後の話だけ、ほっこりして終われるので、読後感がかろうじて救われました。