藍川京作品の愛読者のやなぎやこ、今回は「秘本・陽炎」収録の本作品につきレビューします。ヒロインは二十二歳の女子大生(と称する。事由はネタバレ回避のため読んでのお楽しみということで)で、水商売のアルバイトをしています。店の常連のオジさんたちを
相手に可憐に振る舞い、可愛がられるが・・・結末にドンデン返しが。この手のシチュエーションは、登場人物の振る舞いやストーリー設定に比較的自由度が高く持てるせいか、実は藍川作品にわりと多く見られます(京都+着物+熟女 ほどではないですが)。性描写はといえば、やや淡泊。若く、性に奥手(を装っている)な女性ではそうなるのが自然ですが、プレイ内容に個性が乏しくなっている点は否めません。終盤でヒロインの「本業」のパートナーである同世代女性が登場してレズプレイが披露されますが、抑揚のない調子を盛り返すには至らず、熟慮の末、辛めの星二つとしました。なお、本作は、シーモアでは取り扱いがありませんが、氏の短編集「情事のツケ」(祥伝社文庫)にも収録されています。
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