鬼才・楠田文人が描く、どこかおかしくて、ちょっと不思議な世界へようこそ。15分間の現実逃避をお楽しみください。 年一度の「家具供養大祭」では、寺で預かったた引き取り手のない家具や建具を、感謝の気持ちを込めて祈祷し、夕方から一つずつ境内に設けられた焚き火で燃やすのだ。 駅前商店街にある細い路地の中ほどに、カウンターだけの焼鳥屋がある。奥には二人お爺さんが陣取っていた。明るいうちから呑み始めていたと見えて、既に顔を赤くしていい調子だ。「あと二日か」「せやな」 明後日には、二人とも元の姿に戻り、大祭で焼かれてしまう。「明日は最後だし、甘い物を食べに行くかね」「それもええな」