本書は、向山洋一氏が主宰する、小中学校の現役教師たち数千人が、現場で培った効果的な授業構成や指導ノウハウを研究する機関である「教育技術法則化運動(TOSS)」の研究結果がふんだんに盛り込まれ、「勉コツ」の愛称で好評を博したシリーズのうちの一冊である。今回その中でも特に評判の良かった六冊が、文庫に形を変えて刊行された。その特長はタイトルのとおり、小中学生が学習する日本史を、縄文時代から、昭和十八年の大東亜会議までを、20場面に分け、一場面につき三択形式の問題を三題づつ、計六十題で日本史の大きな流れを理解してしまおうという点である。とかく歴史は、年号・人名・事件名を暗記する科目と思われがちだが、本書の編集意図は「暗記ではなく流れをつかむこと」に徹している点が他の学参書と大きく異なるところ。小中学生の学習の整理はもちろん、親子で問題を解けばコミュニケーションを深めるのに一役買う一冊にもなるだろう。