シリーズ5作目。感動の読み終わり…いつもあとがきはなかったはずが、今回は付いていて「ラッキー」なんて思っていたらとんでもない!!まさか、あとがきに一番ショックを受けるとは思ってもいませんでした。何度も何年も思い患われて「筆を折る」決意をなさ
ったと。こんな素晴らしい作品を生み出す先生程の方でも、幾つもの出版社に言われたという心無い言葉には耳を疑いましたし、先生の気持ちを思うと悲しかったです。でも、この作品の後のシリーズ作品を一冊購入済みである事、その後にも二冊のシリーズ作品がある事を思い出して調べました。結果、正確に何年かかったかは分かりませんが、もう一度筆を取り今年も他作品ですが新作が出ていることが分かってホッとしました。私のように十年以上経ってから作品に出会い読み、「素晴らしい」と思う人が沢山いると思うので、先生には書き続けてほしいと切に願います。肝心の内容については…龍一郎と竜城の繋がりが、もう糸とかロープとか、太い細い、長短の問題を凌駕して一体になったんだと理解しました。縁も絆も繋がりも、作りで言ったら【糸】でできたもの。二人の関係は【糸】のように切れる事は今後一切ない事を知らしめたように感じました。意外にも今回一番慧眼ものだったのが、次郎のセリフでした。なぜ女遊びを止めないのかについて、「お前(颯太)は俺にはもったいない」要は、「日常的な◯欲の処理に颯太を使うわけにはいかない。だから、その程度の処理は女を使う」みたいなセリフ(意味)だったと思います。それを聞いて初めて次郎という人間を(一部だけど)理解できた気がしました。次郎のようなタイプは自分とは対極にいると思っていて、全く理解出来なかったのですが、こういう考え方もあるんだ…まさに十人十色だと思い直しました。あとは咲子のお相手の謎、最後に明かされるまで予想は外れまくり、思いもかけない結末に出番の少なさの割に驚きは大きかったです。ハードめな内容と言っても、時間軸的に過去に戻っての話なので、安心して読めると思います。
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