男のコの『一緒にいたい』と、女のコの『一緒にいたい』は意味が違う。亮太の言う『一緒にいたい』は、身体を重ねたい、セックスしたいという意味だ。
「ジュブナイルポルノの女王」としても著名な小説家わかつきひかる、その過去作品が今電子書籍でよみがえる!
お互い学校でも日曜日でも一緒にいる公認のカップルとなった楓子(ふうこ)と亮太。二人で宿題したりテレビを見たりする時間を愛しむ楓子だったが、亮太はすぐに抱きついてキスを求め……。コンドームも用意している亮太の気持ちに応えるため、初めてのセックスに挑もうとするが、毎回寸前のところで亮太のそれはくじけてしまう。でもその度に楓子の憂鬱な気持ちは亮太のそれと反比例してホッとするのだった。セックスできなくても構わないよ、と伝えると亮太は強張った表情を見せ、それ以来気まずくなってしまう。そんな雰囲気のままクリスマスを迎えようとするある夜、亮太の姉から電話がかかってくる。
「私が今付き合っている彼氏にね、亮太がね……その……」
思いもよらない話の内容に楓子は亮太の気持ちがわからなくなってしまうのだった――。
女子高生たちが本当に好きな人と巡りあうため、恋愛に対して一歩前進するために経験する、時には甘く、そして時には傷つく、初恋とセックスのストーリーの数々。女の子にとって、10代の時に経験する恋の味を思い出させてくれる珠玉の短編! 本書は「短編集2 クッション」の続編となります。
【目次】
1 風が冷たくなってきたね
2 一緒にいようよ
3 寒い夜
4 クリスマスには早いけど
5 C
電子版あとがき
【著者プロフィール】
わかつきひかる
2001年にフランス書院ナポレオン大賞受賞して、頭角を現し、主にライトノベルの分野で執筆活動を続ける。07年に幻冬舎アウトロー大賞特別賞受賞、11年に宝島日本官能文庫大賞、岩井志麻子賞を受賞する。14年、「ニートな彼とキュートな彼女」が「世にも奇妙な物語2014年春の特別編」に採用される。近著に「おいらん同心捕物控」「クリスティナ戦記 奉仕の姫騎士と国境の商人」「あきんど姫様」など多数。