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本書はこれまで筆者が折にふれて書きためてきた地方自治に関係する諸論文の中から、いくつかめばしいものを拾い出してまとめたものである。個々の論文はそれぞれ所与のテーマをめぐって書かれたものであるから、一つのまとまりをもっているとはいいがたいが、全体を通じて、地方自治を単なる「地方行政」としてではなく、<自治と分権>の原理にもとづく「地方政府」としてとらえるという視点に立ち、法制的、技術的側面の分析よりもむしろ制度の原理的意味と実態、変化の動向の解明を試みることに主眼をおいている。本書のタイトルを『地方自治の政治学』とした理由もそこにある。(「あとがき」より)
目次
I 地方自治の再発見
1 地方政府論
「はじめに言葉ありき」/ 自治行政の伝統的イメージ/「自治及分権の原則」/地方自治の機能/ 「地方自治論争」示唆するもの/新しい挑戦
2 地方自治における「経営化」と「政治化」
二つの脈絡―「経営化」と「政治化」/わが国における地方自治の原型/地方自治の「経営化」/地方自治の「政治化」/二つの脈絡の総合的把握
Ⅱ 地域開発と地方自治の生態論
3 地域開発の政策決定過程
地域開発のインパクト/上からのリーダーシップ/自治体「政府」当局と住民/執行部と議会/政党の役割/下からの対応/計画作成の機構/開発現業機構―開発公社・公団等/開発現業機構―開発部等/開発行政の問題点/新しいリーダーシップの可能性
4 コンピナート建設と自治体――千葉県の場合――
工業化政策の整頭と川崎製鉄の誘致/業化政策の拡大/コンビナート建設と千葉方式/長期計画の特色と意義/業化政策の行方
5 地方自治の生態論
「七〇年代の地方自治」―知事アンケート結果から/環境の変化と生態論の視座/課題の再検討
6 生活空間と住民参加
「生活」空間の意味/生活「空間」の構造/ 生活空間と住民参加/参加の意味するもの/住民参加の実情/住民参加を阻むもの/住民参加の可能性を求めて
Ⅲ 地方自治の革新(詳細略))
7 革新都政の登場
8 革新都政下の議会選挙
9 公営ギャンブルと地方自治
10 自民党の都政感覚――都知事候補選び――
11 草の根もとの体制選択――統一地方選挙と革新都政の展望――
あとがき