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本書の第一章から第四章までには、わたくしがこれまでに発表した「森鷗外のドイツ留学をめぐる思想史的考察」（東洋文化研究所紀要第八冊・昭31)、「明治二十年代における森鷗外」（思想・昭31・3月）、「明治三十年代における森鷗外」（東洋文化研究所紀要第十一冊・昭31)、「森鷗外〝独文の諸篇〟について」（明治大正文学研究22・ 昭32)が利用されているが、これらはそれぞれ一応独立の論文として書かれたものであったので、本書の各章とするに際しては、その全部を書き改めた。ある個所は削り、ある個所は書き加えて、ほとんど原型をとどめていないはずである。第五章、第六章は今度はじめて書いた。
この全六章で、誕生から死に至るまでの鷗外の精神形成の過程、思想の展開・変貌の様相をとくに時代と社会との関連において跡づけ描出しようというのが、わたくしの意図したところであった。この意図がどの程度まで達成されたかについては読者諸賢の判定を仰ぐほかはないが、わたくしとしてはとにかく数年来抱きつづけてきた課題の一つを曲りなりにもここに果しえたことを喜びとする。（「あとがき」より）
目次
第一章 家・学校・陸軍
第二章 ドイツ留学
第三章 「戦闘的啓蒙」
第四章 二つの戦争の間
第五章 現代小説と歴史小説
第六章 晩年
年 譜
あとがき
選書版のためのあとがき
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