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一九七三年から七五年にかけてのイギリス留学の間、その時々の政治的事件について、まだ印象が生々しいうちに書きとめておくことにした。それがこの本の主な内容である。
本書の各章は、いずれもその時々に活字になって発表された。収録にあたって、執筆以後にイギリスで発表された研究(特にD・バトラーの主宰するナッフィールド研究)を参照したが、特に書き改めるべき点はなかった。改めたのは、本年三月とあったのを七四年三月にしたといった表現上の訂正だけである。(「あとがき」より)
目次
第一章 議会制民主主義下における政党と「階級」
本章のねらい 政党の階級的編成 労働者保守党員 ニ大政党制の枠組の変化 選択の焦点としての政党 政党のイメージ 政府と野党と選挙 支持政党と政権交替 有権者の物理的交替 政党支持と階級 短期的な変動 未知の将来
第二章 成長の挫折
いつわりの安定 ストップーゴーの経済 ウィルソン主義 第一次・第二次ウィルソン政権 選択の順位 保守党の大勝
第三章 国有化、EEC、所得政策
ブラックプールでの労働党大会 連立政権の可能性 国有化政策の復活 EEC脱退 危機か好機か 礼儀正しい保守党大会 ヒースの新所得政策 保守党の諸流派 パウエル攻撃 道徳と政治
第四章 誰が国を治めるのか
階級と支持政党 選挙戦の意味 危機の選挙 石油危機から 労働組合の動き 所得政策の第三段階 ストライキ規制 「赤の恐怖」 いざ選挙戦 各党の選挙綱領 石炭ストライキ またもパウエル 終盤戦――北海石油をめぐって 自由党支持の急増 労働党の辛勝 綱渡りの新政権
第五章 社会契約
不必要な選挙 社会契約――労働党の選挙綱領 「対決」から「国民的一致」へ――保守党の選挙綱領 自由党および国民党の選挙綱領 選挙戦第一週 「社会契約」と「国民契約」 ヒースの進退 労働党再選
第六章 転期に立つ労働党
過去をふり返って クロスランドの社会主義 政権か抗議か――公有化規約の修正をめぐって ウィルソンの成功 労働党とEEC 継承と逆転
第七章 遅すぎた解決
残留と脱退 イギリスとヨーロッパ マクミランの転向 労働党の立場 国民投票という手続き 事態の急展開 再交渉 雰囲気の変化 労働党七五年党大会 拠出金と乳製品 「再交渉」の意味 理論と実際(以下略)
第八章 ヨーロッパの社会主義と共産主義 一つのサイクルの終り 社会民主主義と共産主義の対立と協力 社会民主主義のめざましい成長(以下略)
あとがき