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放射線に関する仕事をしている人が、身体の不調の原因が職場であびた放射線ではないかと不安を抱き、相談にくる。医者のところで、何回もＸ線撮影をうけたが、自分とか将来生まれてくる子供に影響はないかと質問にやってくる。／他方、医者仲間が、Ｘ線撮影・透視をうけた患者が放射線障害のことを心配しており、いくら「心配ない」と言っても納得しないので、どうにかして欲しいと依頼してくる場合もある。
このような相談に応じた多くの経験から、この本を書く気になった。（「はしがき」より）
目次
はしがき
１ ある息者の死
２ 人体の放射線障害の経験として、医学は何をもっているか
一 三種類の経験例／二 放射線防護への関心を芽生えさせた医療行為による放射線障害／三 放射線防護の歴史をスタートさせた職業性放射線障害／四―七 （略）
３ 放射線障害とその特徴
一 放射線障害の分類――急性障害は問題ではない／ニ 「放射線障害」と診断することの難しさ／三 急性被曝と慢性被曝／四 急性放射線症――代表的な放射線病／五・六 （略）
４ 主な臓器の放射線障害
一 放射線に敏感な臓器――決定臓器の考え／ニ 放射線障害の代表的症状――血液の変化（詳細略）／三 生殖腺の障害――不妊／四―五 （略）
５ 身体の内部からの被曝――内部被曝
一 放射性物質による体内汚染とそのおこり方／ニ 内部被曝による障害例／三 体内の放射性物質が減る速さ／四・五 略
６ 特殊な晩発障害――寿命の短縮と胎児障害
一 放射線による寿命の短縮――老化の促進／ニ 胎児の放射線障害（詳細略）
７ 遺伝的障害の難しさ
一 遺伝的影響は重大な関心事であるが／二 放射線による遺伝的影響は比較的よくわかっている／三 遺伝的影響の犯人は放射線ばかりではない／四 遺伝のことはわかり難い／五―十八 （略）
８ 発ガンの問題が難物である理由
一 因果関係の議論の二つの形式／ニ ガン事例をめぐる因果関係議論の決着のつけ方は三つある（詳細略）／三 発ガンの危険度と線量の関係を表わす二つの方法／四 潜伏期が長いことがもたらすさまざまな問題／五 ガンの原因は複雑である――放射線誘発ガンと称する理由
９ 許容線量は相対的安全線量―― 「しきい線量」をめぐる論議（詳細略）
１０ 危険と利益のパランスの上に立った許容線量（詳細略）
１１ 許容線量を用いるには前提条件がある（詳細略）
１２ 公衆と放射線作業従事者の違いの視点から原子力開発の問題を考える（詳細略）
１３ 原子力利用の賛否を問われる医師の立場（詳細略）
結語にかえて
索引
コラム目次（略）
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