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本書は、主として現存社会主義諸国の社会体制を念頭におきながら、社会諸関係の特定の歴史的形態としての社会主義をめぐる基本的諸問題について考察し、このことをとおして、今日の社会主義問題に接近するために必要と考えられる一つの視角を提示しようとするものである。
本書においては、社会主義社会論にかんする現代的争点の全体像をそれらの史的系譜を含めてはじめに概観したうえで(第一章)、そのうちの最も核心的な問題、すなわち所有と権力の問題に考察を集中することにした(第二章~第四章)。これを、現存社会主義体制の歴史的位置にかんする考察でしめくくることによって(第五章)、私なりの社会主義問題への接近の基本視角を示そうというわけである。(中略)ひと口にといっても、やはりこれだけのことはいっておかなければならない、というのがいわば本書の内容である。(「はしがき」より)
目次(各章の詳細目次は略した)
はしがき
第一章 社会主義社会論の史的展開と現代的争点
1 現代社会主義問題の原点
2 社会主義の体制としての現実化と社会主義問題
3 社会主義論の現代的争点
第二章 社会主義と所有
1 所有論の問題性格
2 社会化ということ
3 社会主義的所有と商品=貨幣関係
4 商品=貨幣関係と計画
5 所有と管理
6 社会化と個人的所有
第三章 社会主義と国家
1 特殊な公的権力
2 公的権力の組織形態
3 「官僚制」と社会的自治
第四章 社会主義と市民的自由
1 階級の解放と市民の自由
2 社会主義のもとでの市民的自由の論理
3 表現の自由をめぐって
第五章 現存社会主義体制の歴史的位置
1 理論状況/古典的命題の適用
2 考察