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現代資本主義論は経済学にとってきわめて重い課題である。それはあるいは、社会科学全体に向けられた最大の挑戦なのかも知れない。本書は、それに対するささやかな応戦の記録であるが、むろん、現状分析と称しうるほどに実証的なものではなく、さりとて理論体系の構築を志したといえるほど大上段に構えているわけでもない。これはむしろ、ひとつの見取図である。ますます混沌とする現代資本主義の内部を、できるだけ奥深くかつ的確に視覚化するために、カメラの位置を探りつつ撮影方法にもいささか工夫を施そうとした試みである。『現代資本主義の透視』という書名は、そうした姿勢の現れに他ならない。
(「序」より)
目次
序
第一章 現代資本主義序説
一 「国家独占資本主義」という言葉
二 主軸としての大内理論
三 歴史的展開(1)
第一次世界大戦―現代資本主義の端緒/一九二〇年代の跛行構造/大不況― 一国的現代資本主義の整列
四 歴史的展開(2)
第二次世界大戦―現代資本主義の戦争/戦後体制―現代資本主義の国際的組織化/安定成長―現代資本主義的生産力の充実/安定成長の終焉―現代資本主義の限界
五 崩壊期資本主義
付論 自己規律の経済学
ロビンソンの自己規律/労働者の規律/資本の自己規律/市民社会の暮方
第二章 現代資本主義の多原理性
資本主義的原理/社会原則/「社会」主義的原理/自由主義段階の「社会」主義的原理/資本主義社会の変質/「社会」主義的原理の公認の帰結/展望/むすび
第三章 愛と絶望の経済学
鞭と利と義と/原理論にも鞭と義が/段階論にはヨリ多くの鞭と義が/利が義に譲った現代/利と鞭と愛と
第四章 資本と国家再論
題意/疎外と共同性/正統性/階級/民主主義/むすびにかえて
第五章 アメリカ型経済文明の衰退
国家独占資本主義の「成功」/生産力発達の屈折/資本主義下の生産力/アメリカ型生産力の成立/現代資本主義の展開/アメリカ型経済の世界化/現代資本主義の行き詰まり/スタグフレーションの意味
第六章 戦後史における一九七〇年代
ヴェトナムー「西」が「東」に「南」で/1MFI 「西」が「西」に/石油ー「西」が「南」に/スタグフレーション
第七章 変革におけるマクロとミクロ
マクロとミクロ/資本主義社会におけるミクロ(1)/資本主義社会におけるミクロ(2)/社会主義におけるミクロ
あとがき