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本書は、地球温暖化問題にかんして、とくにその対策を中心に論じたものである。あまり細かいことにはこだわらず、本質をていねいに平易に書くことに徹した。現在、欧米の知識人のあいだでもっとも注目され、議論されているのが地球環境問題である。本書が、そうした議論の輪を拡げることに貢献できるなら本望である。(「あとがき」より)
目次(詳細目次を一部省略)
序 章 地球温暖化問題とはなにか――新しいパラダイムの出現
親しみやすい大きさの星/さまざまな見解/なぜ、今なのか
第1章 温暖化はなぜおこるのか
惑星の温度/″水の惑星″地球の僥倖/冷却効果/温室効果は科学的事実 /地球の内部は数千度/人類が使うエネルギーによる温暖化は?
第2章 二酸化炭素濃度はなぜ上がるのか
熱帯雨林はCO2を固定しない/地球生命圏の物質循環/熱帯の土壌はわずか二〇センチ/海の物質循環/大気中の循環とフロンの悲劇
第3章 どう対応できるか
ミシングシンク──しかし基本構造は明確/発生削減か固定か──それ以外にはない
第4章 化石にかわるエネルギー──太陽と原子力
水電気分解、そして水素燃焼の夢/消えない永久機関へのあこがれ/太陽エネルギー/太陽エネルギーの直接的利用/太陽エネルギーの間接的利用
第5章 エネルギー消費量を減らす
節約と効率化――省エネルギーのキーワード/奇跡の一〇年間――経済は成長かつエネルギー消費は削減/節約、しかし江戸時代にはもどれない/効率向上による省エネルギー/効率化における技術の役割/産業分野にみる省エネルギー/小さいことはよいことではない―― スケールアップ・メリット
第6章 エネルギー技術の限界を知る
実学としての熱力学のすすめ/化学物質の電気への変換/発電効率七〇%が人類の目標 /燃料電池自動車/製造業の限界は反応熱/ガスの熱量のたった三・三%の電気で風呂は沸く/冷蔵庫はヒーター/
第7章 固定――それは陸と海の炭素蓄積量を増やすこと
混乱する議論/固定の具体的方法/CO2の回収隔離/生態系による固定の促進/ガラパゴス沖の実験
第8章 ビジョンとシナリオ
対策の骨格/太陽電池はまず屋根に、砂漠にそして静止軌道に/エネルギー輸送はずっと将来/「工場の月プロジェクト」/社会システムによる省エネルギー
第9章 地球温暖化問題に答える
市場の原理だけではムリだろう/石油はほとんどタダ/将来のための技術にハンディキャップを
終 章 新しいパラダイムの発信
対策の基本的問題/現在から未来へ/大いなる幸運
あとがき