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小説・実用書
実説 城谷怪談 撰集十九
20巻配信中

実説 城谷怪談 撰集十九

400pt/440円(税込)

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作品内容

1.「茶箪笥」
体験者のケイコさんは、亡くなった母親の遺品整理にかつての実家に訪れた。久方ぶりの古い二階家は、ひっそり閑として急激に朽ち始めている。急ぎ片づけて日帰りで帰るつもりが、遅々として作業は進まず止む無く一泊する羽目になってしまう。深夜、ふと目を覚ますと、隣に寝ていたはずの夫がいない。二階からは何かガリガリと引っ掻くような物音がする。起き出して誘われるようにやってきた階段下は、かつて死後半月誰にも見つからずに母が倒れていた場所だったのだが……。

2.「朧夜」
谷川岳などで著名な群馬県M市在住の美容師Sさんの体験談。11月半ば、彼がまだ高校生のだった頃のある夕方、空手部で汗を流した後、道場を出てから道着をロッカーに置きっぱなしにしてきてしまったことに気付いたSさんは、一人道場に引き返すこととなった。道場は学校敷地内、グラウンドの端にある特設のプレハブだった。朧月夜の人気のないグラウンドを通り、道着を確保し、いざ道場を出ようとした時、風もないのに重い鉄製の出入り口の扉が、ひとりでに閉まり、あろうことか施錠されてしまう。道場に閉じ込められたSさんが外の様子を伺うために、高い窓越しに見たものとは。

3.「一緒にいたよ」
子供の頃には大人には見えない何かが見えることがある。当時5歳の息子を持つ岩下さんの体験。ある日、仕事終わりに急いで幼稚園に息子を迎えに行くと、「お母さんが来たよ」という先生の呼びかけに「はーい」と奥のホールから元気な返事を返してきた息子の声。しかし、その直後、ホールから顔を覗かせたのはおよそ息子とは似ても似つかぬ、青白い顔をした男の子だった……。

4.「もう一度」
松下さんは都内で事務職をしているOLだ。自宅と職場の往復のみの毎日に辟易していた彼女はひょんな事から成人者向けのバレエ教室の広告を目にし、早速入会の手続きをした。その初めてのレッスンの日。買い替えたばかりの中古車のカーナビに住所を入力し急ぎ教室に向かうも、ナビに従って着いたのは、見知らぬ坂の上の一軒家。何度入力してもやはり先日訪れた教室ではなく坂の上の家に案内されてしまう。おかしいとは思いながらも、三度目に件の家に到着してしまった時、家から幼い二人の子供とその母親が出てきて車を覗き込んできたのだが。

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作品ラインナップ  20巻まで配信中!

  • 実説 城谷怪談 撰集十一

    400pt/440円(税込)

    1.「学校の七不思議」
    三十代女性が中学生の頃に体験したエピソード。彼女が通っていた中学校には、代々学校の七不思議と呼ばれる怪談が伝わっていた。中でも放課後四時過ぎに、校舎四階の女子トイレから現れるという「まゆみちゃん」という小さい女の子の話は、自分達でも呼び出せるという曰く付きだった。彼女が中学二年生の時、実際に怪異が起こるか試してみようということになったのだが、何も不思議は起こらない。実験を始めて五日目、遂に彼女が試してみることになるのだが、秋の日の夕暮れ校舎四階の廊下に現れたモノとは。

    2.「とおりゃんせ」
    石垣さんという女性はある夏の日の夜、帰宅途中にあるスーパーに食材の買い出しの為に立ち寄った。店内に入ってほどなく、急に視界から色が失われていく、同時にすべての音が聞えなくなっていくという不可解な出来事に遭遇した。不安に立ち尽くしていると、背後から歌が聞えてきた。途切れ途切れに聞こえる歌は小さい女の子が歌う童謡の「とおりゃんせ」やがて、自分のすぐ後ろに怖気だつような気配を感じて振り返ると、そこにいたのは腰の曲がった小さいお婆さんだった。しばらくして、スーパーを後にした石垣さんは、細い路地で再びお婆さんと遭遇するのだが……。神隠しにまつわる現代譚。

    3.「鏡の怪」
    とかく怪談によく登場する鏡。あの世とこの世の境目になっているなどと言われるが、四十代の男性は若い頃に思いもよらぬ体験をしている。当時設備関係の仕事に就いて間もない二十代前半、市内繁華街の雑居ビルの改修工事の現場でのこと。各フロアには小さな飲食店が入っている五階建てのテナントビルだったのだが、ある時現場の先輩から「五階の奥の部屋には一人では入ってはいけない」と忠告をされる。もちろん、言いつけに従って一人で入るつもりはなかったのだが、翌日の深夜、忘れ物を取りに一人真っ暗なビルに引き返した時、まるで引き寄せられるように件の部屋を覗いてしまう。ひと際大きな鏡に映ったのはもう一人の自分、そして……。

    4.「闇」
    現在は銀座でホステスをしているアリサちゃんが、高校を卒業して間もない頃。大阪で、親友のかなちゃんとルームシェアをすることになった。とても田舎で出向いてみると二人が住まうアパートのほかに近くには建物がない、あるのは田んぼと畑ばかりで嫌な予感がしたという。アリサちゃんは元来霊感が強く、予感とはつまりその類の予感だった。だが、おかしなモノが見えるでもないし、聞こえるわけでもなかった。ただ、暗がりが異様に気になる。かなちゃんを気遣って口にこそ出さなかったが、何か良くないことが待ち受けていると思っていた。そして、それは現実になる。およそ一カ月に及ぶ二人暮らしの中でアリサちゃんが巻き込まれた恐怖とは。
  • 実説 城谷怪談 撰集十二

    400pt/440円(税込)

    1.「壁向こうの風呂場」
    体験者がまだ二十代の頃。引っ越し先のアパートは古いワンルームで角部屋だった。住まいを始めて間もなく、夜になると水が滴る音が聞こえるようになった。確かめてみても自分の部屋で水漏れを起こしている箇所はない。幾晩も続く水滴の音に困惑していたある日、遂に彼の部屋を人ならぬものが訪ねて来てしまった。

    2.「大峠左カーブ」
    体験者は当時三十代の屈強な男性。数年前まで勤めていた運送会社での事。彼は長距離トラック運転手だった。ある日会社が新しいカーナビを導入したというので早速目的地までの住所を設定し、軽快に荷物の集積所を出発したのだが。旅慣れた道中の差し掛かった峠も半分を超えようとしたとき、突然音声ガイドが奇妙な指示を訴え始める。

    3.「嘘から出た真」
    怪談に興味がないというエミちゃんをどうにかぎゃふんと言わせたいという思いから、最後まで聞くと祟られるという都市伝説を語って聞かせたのだが、効果はなかった。ところが翌日からエミちゃんの様子がどうやらおかしい。そもそも作り話で実際には起きないだろうと思っていた枕元に老婆が出てくるお話が夜ごと現実となっているという。そのお話は、最後祟り殺されるという結末。言霊にまつわる城谷の体験談。

    4.「網走Hホテルの怪」
    北海道在住の体験者の男性がまだ若い頃に、当時付き合っていた彼女とドライブに出かけた時のこと。行先も決めずに遠出をして気付けば深夜。たどり着いたのは網走。引き返すには時間がかかりすぎるし、翌日は休日ということもあり、市内で一泊しようとホテルを探したのだが。どこも満室で、諦めかけた時、一軒の元モーテルらしいビジネスホテルを見つける。彼女が先にシャワーを浴びるということで、一人でごろりとベッドに横になると、どこからともなく鼻歌のような声が聞こえてくる。
  • 実説 城谷怪談 撰集十三

    400pt/440円(税込)

    1.「小学校の物品庫」
    昭和二十年代の北海道のとある小学校は校舎の建て替え中であった。当時小学校中学年だった体験者は、ある日の下校途中、忘れ物に気付き学校に引き返した。彼女のクラスは旧校舎の二階。灯の消えた廊下の端にある階段を上ろうとしてふと嫌な噂を思い出す。本来12段しかないその階段が13段になることがある。それは13段と数えてしまうと不吉なことが起きるという、ありがちな噂なのだが…。急いで忘れものを取って帰ろうとしたとき、思わず彼女はその段数を数えてしまう。すると足元から引っ掻くような物音が聞こえてくる、下は鍵のかかった物品庫。その物品庫から聞こえてくる音の正体とは。

    2.「インターフォン」
    体験者の男性が引っ越した都内某所のアパートは独身者向けの古い三階建てだった。引っ越し当日、自分の部屋にだけ真新しいインターフォンが設置されていることに気が付くが、特に気にも留めず、管理会社に問い合わせることもせず新生活を始めた。間もなく。夜の八時になると宅配業者らしき男が訪ねてくるようになる。しかし実際に訪ねてきたのはどうやら業者ではなかったようで…。

    3.「まだ寝ないの」
    数年前、家族で住んでいたマンションは間取りも広く、部屋数も豊富な七階の一室だった。ある木枯らしの強く吹く深夜になって妻が「この部屋には自分たち家族以外の誰かがいる気がする」と言い出した。体験者の男性にはわからなかったが、妻も娘も異様な気配を感じ取っていたという。二人を先に寝かせた後、洗面所で歯を磨いていると何者かが廊下の向こうから近付いてきて、「まだ寝ないの?」と囁かれたのだが、これがすべての始まりに過ぎないことは…その時、気付く由もなかった。

    4.「事故狐」
    小学生のころから心霊やホラーが大好きだった男性が、社会人になって初めての夏、好き者の友人を誘って、心霊スポット目がけ車を走らせていた。夜の国道は空いていて天気も良い、テンションが上がって盛り上がる車内の空気は車の大きなバウンドと「ギャン!」という悲痛な叫び声のおかげで一気に盛り下がってしまった。恐る恐る社外に出て確認してみると、それは道路に飛び出してきたキタキツネが無残な格好でつぶれていた姿だった。運転手の友人はすっかり落ち込んでしまい、体験者が運転を交代することになったのだが、程なく後部座席に乗っていた友人の様子が急変する。
  • 実説 城谷怪談 撰集十四

    400pt/440円(税込)

    1.「こつこつ」
    藤田さんという男性が、29歳の夏に体験した出来事。小さい頃から可愛がってくれていた祖母が亡くなり帰省した新潟の実家で、久方ぶりに対面した祖母は、北側の暗く涼しい部屋で静かに横たわっていた。その晩は祖母の横で眠ることにした藤田さんが夜中トイレに起きると、廊下の奥からコツコツ…と何かの音が近づいて来るのを聴く。やがてその音はトイレのすぐ前にまで近づいてきて。

    2.「赤い部屋」
    石川さんが高校生の頃。住んでいた横浜の某駅付近には、かつて火事で全焼し人は誰も住んでいない立ち腐れたままになっていた、ある企業の社宅アパートがあった。ところが、10階建ての建物の最上階にたった一つだけ今も火事による被害を一切受けず、綺麗なまま残っている部屋があり、そこには人ならぬものが住んでいるらしいという噂が独り歩きしていたそうだ。ある時、悪友三人と連れ立ってその部屋を探索に訪れてみるのだが、それがすべての怪異の始まりとなってしまう。

    3.「天井の隅」
    城谷が小学生のころ、暮れも押し迫った十二月のある晩、父と弟と三人でトランプをして遊んでいた時の事。トランプに飽きた城谷は、その世界からぱったりと音という音が消え、同時に視界からは色が失われ、まるっきり時間が止まってしまった感覚に陥ってしまった。不意に襲い掛かった異変に躊躇していると、天井の隅にもぞもぞと蠢くモノがみとめられた。それは次第次第に大きく膨らみ、やがて…。

    4.「鈴の音」
    吉野さんという男性が少年時代の話。当時同級生と連れ立って訪れた公園には大きなグラウンドと、サッカーゴールがあった。また併せて少し妙な噂もある公園でもあった。暗くなるまでシュートの練習で汗を流したが、そろそろ帰ろうということになり、足元に転がってきたボールを正面の友人にポーンと蹴り飛ばした時のことだ。ボールは放物線を描いて飛んでいったが急に空中でピタリと止まりボトンと地面に落ちてしまった。気が付くと正面にいたはずの友人の姿はなく駐車場から「早く帰ろうぜ」と声を掛けられた。今蹴り飛ばしたはずのボールは駐車場にいる友人の手元に抱きか抱えられている。吉野さんという男性はこの日の出来事を三十九歳になって急に思い出したのだが、その訳とは。
  • 実説 城谷怪談 撰集十五

    400pt/440円(税込)

    1.「白い子」
    因縁因果とは何か。イワサキさんという営業の仕事をしている男性が、打ち合わせに訪れた都内某所の街を夕刻一人ぶらぶらと歩いていた時、思いがけず幼い子供の声を耳にする。気が付くと小学生くらいの男の子が現れる。誘われるようにその子についていくとオフィス街の中に思いもよらぬ公園がある。傍にあったベンチに腰を下ろし一息ついて目を閉じると喧騒が嘘のように消え、代わりにぴちゃぴちゃと水の滴る音が聞こえてきたのだが…。

    2.「いらっしゃいませ」
    今から二十年ほど前の事。八王子駅の近くにあった商業ビルの地階のオープンスペースには小さな居酒屋がお祭りの露店のようにひしめき合っていた。そのうち一つの店でアルバイトをしていたKさんは当時高校三年生。はす向かいのハワイアンバルの店長と特に仲が良く、ある日気掛かりなことを聞かされた。「この地階のオープンスペースには目に見えない客がいる。それは生者の客に混じって当たり前に現れる」と。冗談めかして話してくれたその話は過日現実になってKさんと店長の身にふりかかかることになった。

    3.「湯煙に紛れて」
    サカキさんは現在四十代の開業医である。彼がまだ駆け出しのインターン時代の事。勤めていた大学病院では冬になると若手の医者向けに長期出張のアルバイトの募集がかかった。N県のとあるリゾート施設で三食昼寝付きのアルバイト。内容は冬場雪山で遭難死された遺体の確認である。カチカチに凍り付いた遺体を温泉の湯気と蒸気を利用しいったん解凍させ、そこからがサカキさんの仕事だった。半月何もなく過ぎたある午後、遂に最初の仕事がやってくる。検死確認の仕事を終え、疲れ切ったサカキさんを思いもよらぬできごとが襲い掛かる。

    4.「隣人」
    都会ではビルとビルの間が非常に狭い場所が多々見受けられる。柿沢さんが住んでいた6階建ての集合住宅のワンルームも正にそんな条件の建物だった。暗く湿ったワンルームの窓のひとつは、隣接する隣の建物側に向いていた。そしてまた、奇しくも隣の建物の窓も同じように柿沢さん側に向いて設置されていた。ある日、柿崎さんがその窓のカーテンを開けてしまったのだが…。
  • 実説 城谷怪談 撰集十六

    400pt/440円(税込)

    1.「千葉県某公園警備員」
    長距離トラックの運転手をしている体験者の男性は、当時50代のベテランドライバー。その日も深夜長距離の運転に疲れ、運転手仲間の間で有名な、千葉県のとある閑静な住宅街にある大きな公園脇に、いつものようにトラックを停め、しばし休憩を取るつもりでいた。その公園は取り締まりの目からも逃れられ、大きな車両を駐車していても咎められることがない場所だった。シートを倒し目を閉じた時…コンコン。誰かが助手席側のドアをノックした。

    2.「玄関の覗き窓」
    自転車で日本を縦断中という若い青年。その年の夏、地元長崎県で不思議な出来事に遭遇した。訳あって母親と二人引っ越したのは新築でセキュリティーの整ったマンション一階の一室。盛夏の昼間、自室で彼は玄関の呼び鈴が鳴るのを二度聞いた。母親が内受けのインターホンモニター越しに対応している様子だったが、玄関に出向く様子もない。聞けば呼び鈴が鳴っているのに玄関先には誰もいないというのである。ピンポーン…。止むを得ず男性が玄関に向かうと、後ろで見ていた母親が真っ青な顔をして…。

    3.「一人多い修学旅行」
    怖い話をしたり聞いたりしていると、人ならぬものがいつの間にか近くに忍び寄ってきていると言われる。城谷が小学校六年生の修学旅行で出逢った怪奇。夜、先生の見回りも済んだころ、同じクラスの女子が八人連れ立ってやってきた。「怪談話を聞かせてほしい」というのである。同部屋の男子は怖い話が苦手だと言い、空になっている今来た女子の部屋で待っているという。かくして女子八人と城谷の合わせて九人で怪談話を始めることになったのだが…。

    4.「重たい金縛り」
    金縛りには二つのパターンが存在するという。肉体疲労と脳の覚醒からくる身体の不動。もう一つは…。城谷がまだ十歳のころ、寝室代わりの仏間に家族四人で布団を延べて寝ていたある夜中、妙な感覚に襲われ目が覚めた。両目を開いてみると嫌な怖気が全身に広がり、指先一つ動かせないことに気が付いた。そして自分の布団の足元からゆっくりと何かが這い上がってくるのを感じる。そして遂に這い上がってきたものが胸元に押し迫った時、とうとうそれを見てしまうことになる…。
  • 実説 城谷怪談 撰集十七

    400pt/440円(税込)

    1.「ダブル不倫」
    ある霊能者のもとに相談にやってきた三十代半ばの男性は、同じ社員寮に住む女性との不倫で悩んでいた。双方子供こそいなかったが既婚者であり、事情が露見すればお互いに家庭崩壊は免れず、会社にもいられなくなってしまう。わかっているものの相手との関係にピリオドが打てない。相手の女性は情念のようなものが強く感じられ、生霊ではないかとおもう気配に脅かされているというのである。早く関係を清算しなさいという先生の助言に男性は了解を示すもののなかなか行動に移せずにいた。しばらく連絡が途絶えたのちに遂に決着をつけたと報告にやってきたのだが、そこには思いもよらない結末が待ち受けていた。

    2.「人面犬」
    都市伝説やオカルトの噂は時代や場所を超え、姿やエピソードを変えて折あるごとに流布するようだが、人面犬もその一つだろう。だが、どの噂もそうであるように気が付くと全国で見た者、聞いた者が続出する。火のないところに煙は立たぬという…。城谷が中学二年生の晩秋、私塾への通り道には一軒の新しい家があった。 引っ越してきた中年夫婦は、その中庭で大きな白い毛並みの犬を飼っていた。その日、いつも通り件の家の前を通りかかった時、急に風が凪ぎ、時が止まったような静寂に包まれる。その犬は、鎖につながれ、こちらに背を向けたまま随分激しく餌にがっついている。何かその場を一刻も早く立ち去らなければと感じつつ、意思に反して犬に呼びかけてしまうのだが…。

    3.「ここにいるよ」
    いじめはどこにでもある。社会人になってもより辛らつに陰湿に、或は残酷に行われることがままある。ある会社の営業課は体育会系の部署だった。朝オフィスに出勤して来ると、朝礼後はすぐに外回りに出て暗くなるまで誰も帰ってこない。それぞれにデスクはあるが、日中のオフィスには殆ど人の姿はなかった。だがそこにひとり。キムラさんという平社員だけはいつも自分のデスクで日がな一日過ごしていた。営業の成績が悪く、上司からも見捨てられ、かといって不況のこの時代やめるにやめられず周囲からのいじめや罵詈雑言に打ちのめされながらも身動きが取れなくなっていたらしい。そしてある日、事件は起きてしまった…。

    4.「長野県某宿奇談(前編)」
    ツガワさんという男性の体験。彼が通っていた工業系の大学では、四年生になると卒業論文の代わりに、卒業発表という名目の旅行がある。風光明媚な自然豊かな長野県にある某宿泊施設におよそ一週間泊まり込みという企画で、予算は学校持ち、発表の時間以外は自由時間という触れ込みの人気のゼミだった。ところが大型バスでたどり着いた宿泊施設は市街地からは遠く離れた山間部にある殺風景な元は学校の校舎を改装した建物だった。初日の晩、暇を持て余した同部屋の男子六人はこっそり部屋を抜けだすと宿泊施設内を見て回ることにしたのだが…。
  • 実説 城谷怪談 撰集十八

    400pt/440円(税込)

    1.「囁く男」
    ある日、同じサークルに所属する霊感の強い先輩に呼び止められた大学生のサヤマ君は、通学に使っている地下鉄の電車についての嫌な噂を聞く。「○○駅から、前からか後ろからかは忘れたけれど三両目に乗り込むと、この世のモノではない何かに見そめられることがある。目を合わせたら、最後はダメになるかもしれないから気をつけろ」。幸いにもその駅はサヤマ君が利用する駅ではなかったのだが、その日、特別な理由から普段使わない駅で途中下車することになってしまったサヤマ君が見た駅名は。先輩から聞いた件の駅だった…。

    2.「拾い物」
    小池さんの二人の息子がまだ6歳と4歳だったころ、ある時期、二人の妙な行動が気になったことがあった。食事中や団らんをしている中、ふと気づくと二人の息子があらぬ方をジッと見つめ、視線の先に何かがいるように目で追う仕草を見せるのだ。ある晩、小池さんも息子たちの見ている方に目線を投げると、目の端に一瞬、動物ともボールともつかない黒い塊がスッと動くのが見えた。一瞬の出来事で塊は部屋の暗がりに消えてしまったため、ついに意を決し息子に問いただしてみると…。

    3.「新居」
    上原さんという女性。中学生の時分、母親と二人で郊外の一軒家に引っ越しをした。初めての引っ越し、両親の離婚、多感な少女は思春期と相まって沈んだ気持ちを隠し切れなかったそうだ。母親も引っ越してきてから元気がなく、次第に親子の距離が離れていったある日、学校から帰って来た上原さんは灯もつけず、カーテンも引かない薄暗い茶の間にまるで子供のように足を投げ出して座り込み宙に向かって楽し気に話している母親を見た。母親の周りには無残に切り散らかされた上原さんの大事なぬいぐるみの破片が散らばっていた。異様な光景に立ちすくみ身動きの取れなくなった上原さんに気付いた母親は、別人のような形相でゆっくり振り向くとしわがれた男のような声で「おかえり」と呟いた。

    4.「うずくまる理由」
    家のそばの廃墟に探検に赴いたのは、北沢さんが小学生だった40年ほど前の事である。友人が言うには、その廃墟で心中事件があったとか、小さな女の子が風呂場で大やけどを負って亡くなったなど、真偽のほどは定かでなかったが好奇心を刺激するには十分な噂があった。ある日の昼間、北沢さんは友達五人を連れ立ち、件の廃墟に侵入を試みた。ただの古めかしい一軒家の廃屋のようだが、二階を散策中に事態は急展開を迎えることになってしまう。
  • 実説 城谷怪談 撰集十九

    400pt/440円(税込)

    1.「茶箪笥」
    体験者のケイコさんは、亡くなった母親の遺品整理にかつての実家に訪れた。久方ぶりの古い二階家は、ひっそり閑として急激に朽ち始めている。急ぎ片づけて日帰りで帰るつもりが、遅々として作業は進まず止む無く一泊する羽目になってしまう。深夜、ふと目を覚ますと、隣に寝ていたはずの夫がいない。二階からは何かガリガリと引っ掻くような物音がする。起き出して誘われるようにやってきた階段下は、かつて死後半月誰にも見つからずに母が倒れていた場所だったのだが……。

    2.「朧夜」
    谷川岳などで著名な群馬県M市在住の美容師Sさんの体験談。11月半ば、彼がまだ高校生のだった頃のある夕方、空手部で汗を流した後、道場を出てから道着をロッカーに置きっぱなしにしてきてしまったことに気付いたSさんは、一人道場に引き返すこととなった。道場は学校敷地内、グラウンドの端にある特設のプレハブだった。朧月夜の人気のないグラウンドを通り、道着を確保し、いざ道場を出ようとした時、風もないのに重い鉄製の出入り口の扉が、ひとりでに閉まり、あろうことか施錠されてしまう。道場に閉じ込められたSさんが外の様子を伺うために、高い窓越しに見たものとは。

    3.「一緒にいたよ」
    子供の頃には大人には見えない何かが見えることがある。当時5歳の息子を持つ岩下さんの体験。ある日、仕事終わりに急いで幼稚園に息子を迎えに行くと、「お母さんが来たよ」という先生の呼びかけに「はーい」と奥のホールから元気な返事を返してきた息子の声。しかし、その直後、ホールから顔を覗かせたのはおよそ息子とは似ても似つかぬ、青白い顔をした男の子だった……。

    4.「もう一度」
    松下さんは都内で事務職をしているOLだ。自宅と職場の往復のみの毎日に辟易していた彼女はひょんな事から成人者向けのバレエ教室の広告を目にし、早速入会の手続きをした。その初めてのレッスンの日。買い替えたばかりの中古車のカーナビに住所を入力し急ぎ教室に向かうも、ナビに従って着いたのは、見知らぬ坂の上の一軒家。何度入力してもやはり先日訪れた教室ではなく坂の上の家に案内されてしまう。おかしいとは思いながらも、三度目に件の家に到着してしまった時、家から幼い二人の子供とその母親が出てきて車を覗き込んできたのだが。
  • 実説 城谷怪談 撰集二十

    400pt/440円(税込)

    1.「事故物件の停電」
    不動産勤務のベテラン男性、加納さんがまだ入社間もない若い頃に担当した事故物件での出来事。夏の晴れた日の午後、オーナーからの知らせに急行したアパートにはすでに建物の外にいてもわかるほどの異臭が立ち込めていた。マスターキーを使って現場と思しき三階の角部屋に立ち入ると、そこには開いたままの窓、揺らめくレースのカーテン、茶の間の横の和室の布団に腐敗の進んだ住人の遺体。確認のために更に部屋の奥に踏み込んだ時…。

    2.「教育隊舎のトイレ」
    城谷が26歳の時、事情あって陸上自衛隊に奉職することになった。入隊から半年の教育期間、前期3カ月が間もなく終わろうとしていたある日、勤務中にミスを犯し翌日までに反省文を提出しなければならなくなった。しかし日中は業務のためその時間が割けない。消灯、就寝後にこっそりトイレに起きだすふりをして仕上げようと画策したのだが。深夜、ペンライトと筆記具と用紙を隠し持って、隊舎の奥にあるトイレの個室に入ると、程なく隣の個室から苦しそうな呻き声が聞えてきた。

    3.「彼に憑いた生霊」
    霊感の強いバスガイドのナオちゃんは、二十代の頃のあるツアーを忘れられない。その日、大型バス二台で北海道の観光地を巡っていた初日の夜、先輩のバスガイドと同部屋で床に就いた直後、当時彼氏と住んでいた札幌市内のアパートに誰かが訪ねてくる夢を見た。夢の中で玄関を開けると、シャネルの五番が強く香り、黒髪ストレートでショートヘアの見たこともない女性が立っていて「彼を出して」と部屋に上がり込んでくる。うろたえるナオちゃんを尻目にその女はやがてショルダーバックからアイスピックを取り出して…。
    4.「劇場の女の子」
    城谷がまだ二十代の頃、ある演劇関係の先輩S氏から聞いた体験談。S氏は北海道で大手照明会社に勤めていた。若くしてめきめきと頭角を現し、或るとき大きなコンサートの照明チーフに指名される。劇場は市内でも有数のキャパシティを誇るホールである。無事にリハーサルも終わり明日は本番という土壇場で大掛かりな変更がかかり残業を余儀なくされてしまう。ギリギリまで照明チームに手伝ってもらったが、後は一人で大丈夫だと目処を立て、他のメンバーには帰るよう促すと、一人の先輩が「S、キャットウォークで作業するなら気をつけろよ」と呟いて帰って行った。

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