幕末期の激動時代、ハリスは下田の玉泉寺に設けられた米国領事館に初代駐日領事として赴任した。彼は日本到着前日の日記に記している。「私は、文明国から日本に派遣される最初の公認の代理者となるであろう。このことは、私の生涯に一つの時期をかくするとともに、日本における新しい秩序の発端となるであろう。私は日本と、その将来の運命について書かれるところの歴史に名誉ある記載をのこすように、私の身を処したいと思う」ハリスは言葉どおりの活躍をみせ、ついに2年後、日米修好通商条約の締結に結実する。自身はその後、舞台から退くが、この間に記した詳細な日記が本書だ。日米交渉の虚々実々のやりとりのみならず、当時の日本人の暮らしのはしばしがうかがわれる貴重な記録である。翻訳者坂田氏による日本側記録の併載が臨場感を増している。