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「首都高速4号新宿線に車を走らせると、わたしが西八王子で経営する歯科医院『きぬた歯科』の看板広告が、否応なしに目に入ってくる。どれも巨大でインパクト十分な看板を、かなり目立つ位置に立てているので、見たことがある読者の方もおられるかもしれない。わたし自身、ときどき車で通ることがあるが、夜に走ると、遠くから突如として、まばゆい照明に照らされた派手な造形物が、東京上空に浮かび上がる。それは、わたしの巨大な『顔』だ。(略)本書で述べるが、わたしの場合、徹頭徹尾、企業戦略として都内250箇所以上に看板広告を設置しているので、たかだか数個程度しか看板広告を立てていない者たちとは、考え方がまったく異なると思っている。看板広告を1、2個立てたところで、大した宣伝効果などない。(略)かつてのわたしなら、いま高速道路沿いにそびえる自分の看板を見て、こう叫ぶだろう。『どうだ、俺は成功したぞ!』と。 だが、いまのわたしは、とてもそんなことを叫ぶ気持ちにはなれない。毎日、気持ちが晴れないのである。仕事につきものの不安や恐れも、消えることがない。後悔の念と罪悪感に苛さいなまれる日々は、いつまでも終わることなく続いていくかのようだ。わたしは大した家庭環境でも一流大学卒でもなく、強烈な挫折感だけを引きずりながら、これまで働き詰めに働いて生きてきた。そして、今日も憂鬱な気持ちが晴れないまま、ひたすら働いて生きている。そんなわたしが、人様に語れるような話があるとは思わないが、せめてみなさんの好奇心に応えるためにも、『あのうさん臭い看板の男は何者なのか?』について書いていく」(本書「はじめに 『わたし』は何者か?」より引用)
9784041146415
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