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大正時代、文化人ネットワークの中心にいた著者の、もっとも読み応えのあるユウモア随筆52点を収録。文芸評論、随筆家、翻訳者、英文学者、英語教師でもあった戸川秋骨が、精力的に活躍した36歳から57歳までのもっとも読み応えのある随筆、計52点を収録。全体は4部構成。[スケッチ]では、日常の風景を別の角度からながめ、単調な日々に新しい価値を付与しておもしろくする、まさに「ユウモア」文章のお手本となる作品が並ぶ。[追想]では、小泉八雲、夏目漱石ら恩師を中心に同時代の人々との交流を描いている。[紀行]では行く先々での出来事を秋骨流の手さばきで、貴重な思い出となる出来事へと変身させられる。[パラドクス]は、一見すると矛盾するが、そこにある種の真理があることを意味する。思わぬつながりに「なるほど」と感じることで、パラドクスとなる対象の差が大きくなると、そこに笑いが生じる。特にこの章は、現代ユウモア全集全体の面目を躍如させる章でもある。英語を生業としている秋骨が、「翻訳は不可能」、「英語なぞやるのが馬鹿々々しい」と述べる。それ自体に大きな矛盾を感じるが、ここで秋骨が述べていることは、約100年後の今も、なるほどと思ってしまうことばかりだ。また、大正時代の雰囲気を醸しだし、「大正レトロ」の味わいを伝えると同時に、古き良き東京の様子、とくに関東大震災前後の様子を描き出した貴重な記録としても、読む価値は高い。同時に、秋骨を中心とする当時の文化人の、意外なネットワークを現代に伝える役割を担っているので、ただの「ユウモア随筆」ではない。近代文化人の隠れた精神史を明らかにする「貴重な歴史書」にもなっている。解説文は日本のユーモア文学研究の第一人者・浦 和男。付録には、当時の月報ほか、貴重な資料を収録する。(電子版 2025年1月31日配信)※この作品は一部カラーが含まれます。
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