「隠さないで。全部、俺に見せて」野良犬のように反抗的な伯爵令息・ウーヴェを、紳士へと育て上げるため、家庭教師として尽くしてきたコルドゥラ。三年間の集大成として、彼はついに夜会デビューを迎える。ウーヴェの好意には、ずっと気づいていた。けれど、6歳も年の差がある自分と将来有望な彼――釣り合うはずがない。そう思いながらも、夜会後、ふわふわとした高揚感の中で酒杯を交わした。酔いが回るにつれ、二人の距離は縮まり、触れる指先が熱を帯びる。「約束だったよな? ご褒美くれよ」低く囁かれた瞬間、息が詰まり――気がつけば事後だった。「閨のレッスンだと思って忘れて」震える声でそう告げ、コルドゥラは逃げ出した。胸の奥で鳴り止まない鼓動を抱えたまま……。