生贄として湖に沈められた少女・撫子は、湖底で竜神・蒼蘭に出会う。
感情を持たない蒼蘭は、じつは生贄から感情を学ぶ必要があったが、
蒼蘭は痩せた撫子を見て、「しばらくここで生活しろ。太ったら、食ってやる」とだけ告げる。
いずれ殺されるものと思い、日々を過ごす撫子だったが、
蒼蘭との暮らしは、想像していたよりもずっと甘いものだった。
生贄となるべく家族から虐げられてきた撫子は、湖底での蒼蘭との生活で次第に生きる喜びを覚えていく。
さらに、蒼蘭に感情を教えるうちに芽生えていったのは、禁断の恋心だった……。
不遇な少女と不器用な竜神が紡ぐ、切なくも美しい異類婚姻譚。