近世を通じて統治権力を失っていた天皇の存在が幕末の政治舞台に浮上し、王政復古が実現するのはなぜか。公家日記や古義堂伊藤家の史料などを博捜し、19世紀前半の朝廷と幕府の関係と、学問・思想が朝廷運営に及ぼした影響を検証することで、日本が大きく変革する過程と新たな視座を示す。
【主要目次】
序 章 鷹司政通と近世朝廷研究の課題
第Ⅰ部 朝幕関係および朝廷像の展開と鷹司政通
第一章 昇進御礼使者の派遣と朝廷・幕府の思惑
第二章 武家社会の朝廷像と公家文化への視線
第三章 律令封禄の再興構想と関白鷹司政通
第Ⅱ部 朝廷運営における学問・思想の影響と鷹司政通
第四章 仁孝天皇の和漢書物学習と公家社会
第五章 古義堂五代目伊藤東峯と公家社会の交流
第六章 天皇号・漢風諡号の再興と古義堂伊藤家
第七章 天皇・将軍の没後称号選定と関白鷹司政通
第八章 幕府天保改革への対応と教育機関の設立構想
終 章 朝廷運営と鷹司政通の役割