「……もしも俺が諦めきれないって言ったら?」平凡なOL・衣緒のたったひとつの宝物は、夏祭りの夜、憧れの幼なじみ・柊人がくれた小さな指輪。「いつか、本物の宝石がついた指輪をあげる」その言葉を信じていた。でも彼は何も告げず、消えるように渡米した。失恋の痛みを抱えながらも、衣緒は今、勤務先の御曹司・桐谷と交際している。誰もが羨む完璧な恋人。もう、過去に縋るのはやめたはずだったのに――突然、彼が現れた。新任の顧問弁護士として現れた柊人は、あの頃と変わらない笑顔の奥に、大人の男の余裕を纏い、衣緒の心を揺さぶる。熱を帯びた視線。ふいに触れる指先。囁かれる言葉に、閉じ込めていた想いが溢れ出す。――ずっと忘れたふりをしていただけ。初恋は、まだ終わっていなかった。