「百日後に、あなたを嫁に迎えにゆく……」――夢で囁かれたその声が、現実になった。
人の落とし物や迷子を放っておけない、ちょっとお人好しな大学生・緋唯斗(ひいと)。
ある日、瀕死の白い狐を拾って看取った夜、彼は“狐の花嫁”になる不思議な夢を見る。
夢の中で緋唯斗に優しく手を差し伸べるのは、銀髪に狐耳を持つ、美しく謎めいた青年。
現実では、“狐のような”青年・紺(こん)が現れ、ふたりは同棲をはじめた。
不思議な同居生活のなかで、緋唯斗の心は少しずつ、確かに彼に惹かれていき……。
体を重ねた日から緋唯斗に異変が起こる。
それを紺に吐露すると――。
「あなたは妊娠をしていて、父親は私ということですよ、緋唯斗」
拾い癖のある青年と、美しき狐男子が織りなす、百日後の“嫁入り”を巡る、とろけるように甘い縁結びの物語。