音楽配信サービスは便利だが、苦労して手に入れたCDのブックレットを開き、ジャケットを眺め、取り出し、そこから音を奏でたときに感じるリアル感、緊張感、親近感は配信サービスでは味わえないものだろう。
輸入や絶版の復刻でクラシック音楽CD業界を長年リードしてきた屈指の目利きが、2019年から24年に発売された2万枚を超える新譜のなかから、いまだからこそ聴くべき、そして生涯手元に置いておくべき名作アルバムを厳選して多数紹介する。著者が店主を務めるアリアCDの特別限定会員のためだけの門外不出だった極秘情報の、待望の一般公開である。
音楽をデータとして聴くだけではなく、モノとして獲得し、保有してこそ価値があるアルバムが勢ぞろい。本書を読めばすぐにCDショップに駆け付けて、あるいは通販サイトで手に入れて、ジャケットをなで、ディスクを光にかざし、音盤をプレーヤーにのせ、音楽を奏でたくなることまちがいなし。「生涯の一枚」にきっと出合えるディスクガイド。