心の病とは、そして本当の「やさしさ」とは何か?
統合失調症の治療と探究、阪神・淡路大震災における被災者の心のケアなど、常に苦しむ人の心に寄り添い続けた精神科医・中井久夫。やさしさと同時に鋭い知性と深い教養を備えた彼は、優れた文筆家でもあり、臨床の現場にあって思索したことを多彩な文章で綴った。
その著作を通して中井久夫を師と仰ぐ斎藤環氏が、選りすぐりの論文・エッセイを紐解き、そこに込められた独創的な文化論や社会のあり方に対する深い洞察を丁寧に解説する。大好評を博した「NHK100分de名著 中井久夫スペシャル」の番組テキストに、後期の代表作『徴候・記憶・外傷』を読み解く書き下ろし新章を加えた決定版!
【内容】
第1章:「心の生ぶ毛」を守り育てる――『最終講義』
第2章:「病」は能力である――『分裂病と人類』
第3章:多層的な文化が「病」を包む――『治療文化論』
第4章:精神科医が読み解く「昭和」と「戦争」――「『昭和を送る」「戦争と平和 ある観察」
第5章:「記憶」がひらく新たな枠組み――『徴候・記憶・外傷』