太平洋戦争中、国のため、家族のため、そして何よりも愛する人のために命懸けで戦った零戦搭乗員たち。しかし、敗戦後は労われることもなく、石つぶてをもって追われた者もいた……。戦中・戦後の過酷な体験に、傷つき、貝のごとく口を閉ざしていた彼らだったが、戦後50年をきっかけに彼らの元を訪ねるようになった著者が、ときに門前払いに遭いながらも、彼らの心を解きほぐし、これまで一度も語られることがなかった貴重な証言を集めてきた。
本書は著者がどのようにして元零戦搭乗員たちを見つけ、つながり、また貴重な証言を引き出してきたのか、またその取材過程で垣間見えた元隊員たちの苦悩も描く。戦中そして戦後の80年も含めた戦争を見つめなおす証言集。
序 章 一九九五年。阪神淡路大震災、地下鉄サリン事件、そして戦後五十年
第一章 出逢い。幼稚園の園長を務める歴戦の零戦搭乗員
第二章 零戦搭乗員会へ「何しに来たの? 俺は忙しいんだ」
第三章 新鋭機紫電改を育て上げ、実業界で成功した名パイロット
第四章 戦後、レコード会社で活躍した無敵の飛行隊長
第五章 伝説の零戦隊指揮官が語った戦後日本への失望
第六章 支那事変から終戦までを見届け、戦後は土とともに生きた元特攻隊員
第七章 「ゼロファイターゴッド」と呼ばれた男の矜持
第八章 「空戦が恐ろしくなった」と率直に語ったベテラン搭乗員
第九章 負け戦の経験がない名手にとって戦争とはなんだったのか
第十章 初の著書『零戦の20世紀』。そして「生きた証人」たちそれぞれの戦後