わたしは、やっと、自分がなにを作っていたのか知った。
満洲国・新京。
そこで彼女たちに何があったのか。
戦後80年
『きみはいい子』『世界の果てのこどもたち』『天までのぼれ』の著者がおくる、語り継ぐべき物語。
『世界の果てのこどもたち』には書かれなかった、もう一つの真実。
わたしは気づけなかった。
気づけなかったことはたくさんあった。
この物語の中で繰り返されるこの言葉が、いまを生きる、私に迫る。(略)
私はこの作品が『伝言』と題されたことの重大さを、ずっと考え続けている。
――小林エリカ(解説より)
満洲国・新京で暮らす、ひろみ。
聖戦とよばれた戦に勝つため、工場に集められた彼女たちは、鉄の機械とのり、刷毛を使って畳ほどの大きさの「紙」を作り続ける。
それが何なのか、考えもせずに。
五族協和、尽忠報国――信じていた国でひろみたちはどう生きたのか。
これはわたしたちが忘れてはならない物語。