岐阜・飛騨高山の重要文化財「日下部家住宅」を舞台に、メディアアーティスト落合陽一が展開してきた5年間にわたるアートプロジェクト。その全貌を初めて一冊にまとめた記録集です。
柳宗悦の「民藝」思想を受け継ぐ日下部民藝館と、「デジタルネイチャー」を提唱する落合陽一が出会い、歴史と風土、そして伝統の中に息づく物語を最先端のテクノロジーで再解釈してきた本プロジェクト。
「メディアと民藝」(令和3年)を皮切りに、「遍在する身体」「ヌル即是計算機自然」「曼荼羅と三巴」など、毎年異なるテーマで展開されたインスタレーション群は、いずれも重要文化財の空間と深く響き合いながら、唯一無二の表現世界を生み出してきました。
本書では、5年間に制作された160点以上の作品を収録。各展の記録写真や資料に加え、落合陽一本人や関係者の声、構想プロセス、地域との協働の記録も豊富に掲載。土地の記憶とデジタルアートが融合する過程を、思想的・方法論的な転換点として捉える落合の現在地がここに記されています。
民藝とメディア、自然と人工、伝統と未来が交錯する稀有な実験の記録を、ぜひ本書でご体感ください。