侯爵令嬢であり、この国唯一の聖女であるイーリア。
だが聖女といっても特別な力があるわけではなく、象徴的な存在である彼女は周囲や家族にも冷遇されていた。
ただ一人、婚約者である王太子だけがイーリアに優しく接してくれ、彼女にとって唯一の光だった。
その王太子が何者かに殺された。
そしてイーリアは王太子殺しの濡れ衣を着せられ、潔白を証明する機会も与えられず処刑された。
ーー目が覚めると、イーリアは孤児に転生していた。
そこはイーリアが処刑されて8年がたった世界。シスターに拾われたイーリアは、新たに『メイフェル』と名付けられ、孤児院の暮らしの中で、前世では感じることのできなかった家族の温かみに触れていく。
質素だが家族の愛に満ちた孤児院での幸せな生活は、前世の嫌な記憶を忘れさせたが、唯一、前世の婚約者のことだけは心から離れなかった。
そんなある日、孤児院の子どもたちと王都に出かけたメイフェルは、冷たい雰囲気を持つ青年・アルブレヒトに出会う。彼の正体はいったいーー?
作者より
孤児であるメイフェルと、敵国の軍人であるアルブレヒト。
お互いに気難しく、そして何かと不思議な縁がある二人の行く末を見守っていただけたら嬉しいです。
『婚約者殺しの冤罪で処刑された元聖女です~今が幸せなので前世は早く忘れたい~(1)』には「プロローグ 婚約者」~「転生した聖女 処刑されて十六年ーーメイフェル十二歳」までを収録