罪を追う者、背負う者。
後ろ暗い過去を抱えて市井に隠れ住む人々と
使命に生きる岡っ引きの、
ほろ苦く温かい七つの物語。
七月二十六日の夜、岡っ引きの市兵衛は、人気のない神社で話し込む二人の男を見つめていた。鉋職人の勘助と紙屑買いの十蔵だ。
久方ぶりの再会を果たす二人だが、市兵衛には、その縁を断ち切らねばならない理由がある。十六年前、ある太物商で起きた火事に二人は関わっていた。
事件は、勘助が抱える亡き妻や一人娘に言えなかった秘密に繋がっており……。(「二十六夜待」)
じんわり沁みてほろっと泣ける人情捕物帳!
※本書は『二十六夜待』に著者が加筆・修正を施した「完本」です