国を憂い、理想に殉じた若者たちの眩しくも激しい生きざま。
直木賞作家・澤田瞳子のデビュー作にて中山義秀文学賞受賞作、
奈良青春大河ロマン完結篇。
古代史ものの復興の切っ掛けを作ったのは、間違いなく本書『孤鷹の天』である。
――文芸評論家・末國善己氏(解説より)
仏教推進派の阿倍上皇派と儒教推進派の大炊帝派の対立は激化し、
ついに恵美押勝こと藤原仲麻呂が挙兵するも敗北。
斐麻呂が慕う桑原雄依は、仏教派に寝返った高丘比良麻呂暗殺を企てるが失敗し斬刑となる。
大学寮は閉寮となり斐麻呂は出奔。奴から紀朝臣姓を賜り良戸となった赤土との距離は離れていく。
弓の名手である佐伯上信は、義に殉じた無二の親友・雄依の志を胸に、
淡路へ流された大炊帝を奉じ戦いに臨む。
大学寮の学生たちの生命を賭した「義」はどこへ向かうのか。