幼い頃に実母を事故で亡くした伯爵令嬢のアリアは、父と継母、腹違いの弟や妹らと暮らしている。自由奔放だった母に対して、貴族たちは口さがない。継母も自分のことは好いていないような気がして、アリアは引きこもりがちな日々を送っていた。そんなある日、伯爵家にアリアが王太子妃候補となった報せが届く。家の者たちが祝福するなか、アリアの心はここにあらず。というのも、アリアには密かに想う相手がいた。その相手とは、王太子のいとこで側近中の側近、将来有望な王家の臣下と期待されている侯爵令息のライナス。お妃選びのためにはしばらく王宮で暮らし、王太子妃として、そして未来の国母としての適性を計られるのだ。王宮に上がれば、王太子の傍にはライナスが控えているはずだ。だが、皆がアリアのためによかれと思ってお膳立てしてくれた機会。家の名誉のためにも、その気持ちを誰にも悟られることなく、堂々と望まねばならない。そう誓ったのに、王太子妃候補として接するライナスに、よそよそしさを感じて心が揺らぐのだった——