幼い頃に母を亡くしたラシェルは、後妻と異母妹のデルフィーヌに加え、実の父親からも虐げられている。そんなラシェルのたった一つの支えは、全てを知りながらも傍にいてくれる心優しい婚約者・ローレンだけだった。貴族学校を卒業したら彼と一緒になれる――居場所のない家からも解放される。そんな思いで勉強にも必死で励むラシェルだったが…… 「すまない、僕はデルフィーヌと結婚する」 卒業を間近に控え、唯一の理解者であったローレンから裏切られ――さらには、傷付くラシェルに、ローレンは愛人になるよう持ちかける。驚き拒むラシェルだったが、彼を誘惑したのだろうと激怒した義母に娼館へ売り飛ばされてしまう。身も心もボロボロになったラシェルが娼館へ引き渡される寸前に現れたのは、アスティリア侯爵家の若き当主・フェリクスだった。冷たい美貌と卓越した魔力で知られる孤高の魔術師に、藁にもすがる思いで助けられたラシェルは――。