仕舞屋の灯と申します。渡し守は四十年、川に呑まれた子らの名を、誰にも言わず杭に刻み続けていました(時津なぎさ )の注意事項

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漫画(まんが)・電子書籍のコミックシーモアTOPライトノベルライトノベルRealize出版C-Trap LIGHT仕舞屋の灯仕舞屋の灯と申します。渡し守は四十年、川に呑まれた子らの名を、誰にも言わず杭に刻み続けていました
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仕舞屋の灯と申します。渡し守は四十年、川に呑まれた子らの名を、誰にも言わず杭に刻み続けていました 発売予定

900pt/990円(税込)

8/14(金)発売予定

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作品内容

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提灯屋・幸助が遺した、地味な一張りの提灯。暮れの日ざしに透かすと、無地に見えた火袋の内側に、薄墨で描かれた絵がひとりでに浮かびあがる。火を入れた者にだけ見える、息子の幼い日の姿だった。火袋張りをやめて商人になったのを死ぬまで見下されたと拒んでいた直次郎が、自分の手で火を入れ、浮かんだ絵を見て一人で泣く。
元紺屋の後家・お篠が、妹のお六のために産着の型に染めた一反の布。生涯の詫びの品だと読んだ灯は、それを差し出す。だがお六は静かに明かす。三十年前、姉は自分の産んだ子を産後の病の間に、家の名を守るためと里子に出し、行方も知れなくした、と。詫びの布ひとつで許せるものかと、お六は受け取らずに去る。読みが正しくとも、直せぬものはある。灯は押し付けず、布を引きとる。
三軒目は、上の渡しの渡し守を四十年つとめて逝った徳市の家だった。弟の死んだ渡しの渡し守だと気づいて、灯は胸を突かれる。川の道具ばかりを大事にした冷たい人だと読み違え、息子の平吉を傷つけた灯は、帳面を丹念に読みなおす。徳市は三十年前、川へ落ちかけた平吉を境に、頑なに息子を川から遠ざけていた。あの冷たさは、水から子を守るためだった。そして寒の水の引いた渡しに立った灯は、水面下の古い杭の根に、徳市が四十年かけて一人ずつ刻んだ、川に呑まれた子らの名の列を見つける。そのなかには、弟の巳之吉の名まで刻まれていた。
灯は棚の色あせた風車を手に、弟の名の刻まれた杭のもとへ立つ。十四年ぶりに、それを川へ流そうと水面へ差し出す。羽根を寒の水にひたし、流れに半回りして回るのを見る。けれど指はどうしても掌をひらけない。濡れた風車を握りなおして持ち帰り、それでも暗い箱へは戻さず、また棚へ立てる。掌に残る、寒の川水の冷たさと、濡れた風車の重み。
本作は「仕舞屋の灯」シリーズ第4巻(全4巻・完結)。

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作品ラインナップ 

  • 仕舞屋の灯と申します。傘直しの母が息子に遺したのは、四十年ひとりで直し続けた、壊れた子供傘でした
    8/14(金)発売予定

    登録すると発売日に自動購入できます

    900pt/990円(税込)

    塩見町の川寄りに、亡くなった人の家を片づける女がいる。仕舞屋の灯、二十六。遺されたものを一つずつ検め、いるものといらぬものを分け、そのなかから故人が最後に渡したかった一つを見つけて、生きている側の手へ渡す。畳をさらえるのはついでのようなもので、灯がほんとうに頼まれているのは、いつもその見えぬ糸のほうだった。
    傘直しの後家・縫の家で、灯は仏壇の裏から傷ひとつない立派な蛇の目傘を見つけ、疎遠の息子・与一へ差し出す。だが与一は傘を拒む。母は生涯、自分に傘一本触らせなかった、と。灯の見立ては、与一の古傷をかえって開いてしまう。家をもう一度検めた灯が行李の底に見つけたのは、四十年、息子の壊れた子供傘を黙って直し続けてきた跡だった。
    元渡し守・松蔵の遺した銭壺を、娘のお常は突き返す。二十二年前に母と自分を捨てた男の銭など要らぬ、と。渡し賃の端数を一文ずつ貯め、娘の渡し賃を生涯ただにしていた帳面を見せても、お常は帳面だけを目に写して、壺は受け取らぬまま去っていく。若くして病没した千代の文箱には、男の名を繰り返し書いた反故の束。想い人がいたかと早合点した灯は夫の新三を打ちのめすが、それは読み書きのできぬ千代が、隠れて夫の名だけを何百と書いた手習いの紙だった。
    渡せる家もあれば、渡せぬ家もある。そして灯自身の道具箱の底には、十四年、ただの一度もほどけぬままの藍の包みがひとつ沈んでいる。上の渡しで死なせた弟の、受け取り損ねた風車。川向こうの仕舞いを頼まれ、灯は渡し場の手前で足を止める。結び目に指をかけ、けれど今日もほどけぬまま、また荷の底へ戻される、小さな包み。
    本作は「仕舞屋の灯」シリーズ第1巻(全4巻・完結)。
  • 仕舞屋の灯と申します。目を病んだ鏡研ぎが娘に遺したのは、手の勘だけで磨きあげた、たった一枚の鏡でした
    8/14(金)発売予定

    900pt/990円(税込)

    仕舞屋の灯のもとへ、また差配の太兵衛が次の仕舞いを持ってくる。亡くなった人の家に入り、故人が最後に渡したかった一つを見つけて、生きている側へ渡す。それが灯の得手だった。
    目を病んだ鏡研ぎ・宗次が、娘に遺した一枚の和鏡。鏡面だけが磨きあげられている。お律は、母の死に目に渡り仕事で家にいなかった父の鏡など見たくもないと突き返す。だが灯は、他人からあずかった鏡は縁が曇るのに、この一面だけ隅々まで完璧なのは、四十年研ぎ慣れた我が家の鏡を手の記憶で研げたからだと悟る。ほとんど見えぬ目のかわりに、娘へおのれの顔を映させようとした鏡だった。
    元酌婦・お栄の家には、三十年ぶん几帳面に取っておかれた男物の端切れと守り袋。金を出した人は「何も渡すな、名も出すな、ただ片せ」と言い残していた。灯は品の主が乾物問屋の利兵衛だと突きとめて訪ねるが、利兵衛は関わりを頑として認めず、みな焼けと突き放す。灯は、お栄がそれを誰かに渡すためではなく自分のために抱いていたのだと読み、渡すのをやめて、望みどおり品を土に還す。
    独楽作り・茂平が孫の太一に遺した見事な独楽を、太一は川原へ投げ捨てる。爺はいつも「あとで教える」と言うだけで、作り方を教えぬまま逝った、と。仕事場を検めなおした灯が見つけたのは、子供の背丈に削られた低い作業台と、小さな手に合う道具と、荒く割った木地だった。仕上げた独楽ではなく、太一に自分の手で最初の独楽を削り出させる支度。太一のこしらえた不格好な独楽が、川原でひとりでに回りだす。
    その回る独楽が、灯の胸の底の風車と重なる。灯は十四年ぶりに藍の包みをほどき、色あせて羽根の欠けた弟の風車を掌に見る。川へ流すことも渡しを渡ることもまだできぬまま、それでも暗い箱へは戻さず、板の間の目につく棚へ立てる。戸の隙間の風にひとつ羽根を震わせ、回りかけては止まる、その風車。
    本作は「仕舞屋の灯」シリーズ第2巻(全4巻・完結)。
  • 仕舞屋の灯と申します。この家には、亡くなった産婆さんが遺したはずのものが、何ひとつ残っていませんでした
    8/14(金)発売予定

    900pt/990円(税込)

    鈴作り・忠七が神棚に上げていた、鋳肌も澄んだ立派な鈴。家を継がず町を出た息子の栄吉は、親父は俺の鋳る音を死ぬまで認めなかった、その澄んだ鈴など聞きたくもないと拒む。灯は仕事場じゅうの鈴を一つずつ鳴らして回り、澄んだ音の群れのなかに一つだけ濁って調子はずれに鳴る鈴を聞き分ける。それは幼い栄吉の鋳た出来損ないを、忠七が捨てずに隠し、さらに己の手でそっくり同じ濁った音を鋳て、並べて遺したものだった。
    だが、どんな家でも渡すものを見つけてきた灯の手が、この巻ではじめて空になる。元産婆・お滝の家。慕っていた娘のお梅は「お前にだけは残しておくものがある」と言われ続けたという。灯は床下も天井裏も、柱のくぼみまで検めるが、お滝は自分のものを何ひとつ持たぬ人だった。ありもしない形見をこしらえて渡すことを灯は拒み、何も遺されてはいなかったと正直に告げる。お梅は救われぬまま、あんたなんかに頼んだのが間違いだったと泣いて去る。仕舞屋の手にも、どうしても届かぬものがあった。
    火事で幼い弟を庇い、胸を病んで洗い張りに身を削ったお絹。弟の佐吉は、姉を殺したのは自分だという負い目を抱えている。灯は書き損じの多い覚え書きを恨みの証と読み違えて佐吉をいっそう傷つけるが、それは子守唄の文句の書き取りで、縫いかけの祝い着は、近く生まれる佐吉の子のための支度だった。姉は弟を恨まず、先の先まで生かそうとしていた。
    その帰り、灯は十四年ずっと黙ってきた弟のことを、はじめて太兵衛に打ち明ける。上の渡しでその子を死なせたのだ、と声に出して。棚に立てておいた色あせた風車を手に、灯は十四年避けつづけた上の渡しの岸辺に、はじめて立つ。風車を流すことも渡しを渡ることもまだできぬまま、それでも十四年ぶりに声に出して呼ぶ、弟の名。
    本作は「仕舞屋の灯」シリーズ第3巻(全4巻・完結)。
  • 仕舞屋の灯と申します。渡し守は四十年、川に呑まれた子らの名を、誰にも言わず杭に刻み続けていました
    8/14(金)発売予定

    900pt/990円(税込)

    提灯屋・幸助が遺した、地味な一張りの提灯。暮れの日ざしに透かすと、無地に見えた火袋の内側に、薄墨で描かれた絵がひとりでに浮かびあがる。火を入れた者にだけ見える、息子の幼い日の姿だった。火袋張りをやめて商人になったのを死ぬまで見下されたと拒んでいた直次郎が、自分の手で火を入れ、浮かんだ絵を見て一人で泣く。
    元紺屋の後家・お篠が、妹のお六のために産着の型に染めた一反の布。生涯の詫びの品だと読んだ灯は、それを差し出す。だがお六は静かに明かす。三十年前、姉は自分の産んだ子を産後の病の間に、家の名を守るためと里子に出し、行方も知れなくした、と。詫びの布ひとつで許せるものかと、お六は受け取らずに去る。読みが正しくとも、直せぬものはある。灯は押し付けず、布を引きとる。
    三軒目は、上の渡しの渡し守を四十年つとめて逝った徳市の家だった。弟の死んだ渡しの渡し守だと気づいて、灯は胸を突かれる。川の道具ばかりを大事にした冷たい人だと読み違え、息子の平吉を傷つけた灯は、帳面を丹念に読みなおす。徳市は三十年前、川へ落ちかけた平吉を境に、頑なに息子を川から遠ざけていた。あの冷たさは、水から子を守るためだった。そして寒の水の引いた渡しに立った灯は、水面下の古い杭の根に、徳市が四十年かけて一人ずつ刻んだ、川に呑まれた子らの名の列を見つける。そのなかには、弟の巳之吉の名まで刻まれていた。
    灯は棚の色あせた風車を手に、弟の名の刻まれた杭のもとへ立つ。十四年ぶりに、それを川へ流そうと水面へ差し出す。羽根を寒の水にひたし、流れに半回りして回るのを見る。けれど指はどうしても掌をひらけない。濡れた風車を握りなおして持ち帰り、それでも暗い箱へは戻さず、また棚へ立てる。掌に残る、寒の川水の冷たさと、濡れた風車の重み。
    本作は「仕舞屋の灯」シリーズ第4巻(全4巻・完結)。

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