初めから見事に彼視点のシャーロットがストーリーに。シャーロット父とのやりとりがなかったら、いや寧ろ牧師館訪問しなかったら、彼は社交界で出会っていたなら、「間違いなく愛人にしていた」。ピュアな魅力と、女性として男性を惹き付け始める健康な色気(
序盤からお尻を、さりげに、畳み掛けるように、胸元強調。言動はどこかに子供っぽさを残しながら女性の体つきをも押し出している)をこぼれさせる。それが危なっかしさ全開でドラマを牽引する。
彼女の危なっかしさが、日本語タイトルに選ばれた「冒険」の語から連想する物語の動きを期待させる。
絵には先生の感性が溢れて独特の空気がある。
マックスを尾方先生ならどう描いたか、さちみ先生なら?、と漠然と思いながら読み進める。
守りたい、男性の本能的なところと、ヒロインへの仄かに感じているいとおしさとが、うまい具合に話に作用して、予想しやすくも、また意外に役どころを弁えようとする彼のむなしい頑張り(?)が楽しい。
牧師様も、人間臭くて驚いた。
貴族社会を舞台にしたHQは一大勢力を誇る分野なのに、今さら驚くことに、珍しい決闘場面あり。他では津谷先生作品くらいしか記憶がない。
決闘までしているのに、その時点でどうこうという訳ではなかったのが、この話が一本のストーリーとして成り立っている所以。
「シャーロットはあなたの何?」と聞かれてみて、漸く初めて自分の心を問い質し始める訳だ。
気になっていること一つ。
ロス侯爵は、「伯爵家の事情」(デボラ・シモンズ原作/尾方琳コミックス化)に出てくるロス侯爵と関係は無いのか? 何も繋がりのあるような記載は無かったがー。
もっとみる▼