恋は盲目というのではなく、ヒロインのいいところがいくらでも言える悪魔公爵。
機敏に動き何度も救う頼もしさ。洞察力があり、機転もきく。男性としてアピールするものを豊富に備えていて、女性の心をくすぐる振る舞いを心得ている。
それでももう傷つ
きたくないヒロインは距離をおき警戒し慎重に接する。
そんな彼女には、冷たい態度をとられてもまた出直すこの公爵ほどの、自信と余裕のアタックぶりがないと、次の結婚の扉は開かなかっただろう。自分に気がないんだとあっさり引き下がるような男性には、彼女の難しい立ち位置から殻を破らせることは不可能だったように思える。
熱く、大胆で、強引。だけれど、ヒロインの良さを、人の口に惑わされずに見抜けてた。その点は、とても細やかな注意力の持ち主を裏付ける。
押し切られそうになり、この第二のスタートを切る話に乗ってみようと決意したときは、もう妻としての立場を傷つけられた過去を踏み越えられそうだったのに、またしても!?
ヒロインは、人に裏切られても、人を助ける気持ちの持ち主。その人柄によって大勢の人々が、噂など無関係に周りで気遣い助けてくれる。
二人がひかれていても、ヒロインは自分では彼の愛を確信しないと、本当の幸福は来ないと思っていた。モテそうだから愛人も居るのでしょうとか、ヒロインの想像は、彼が悪評を撥ね付けてヒロインに求婚したのと対照的。それだけ彼は素敵であることを認めている証拠なのだが。
人の見方より、自分の相手を見る目のほうを大切にする話が私は好き。このストーリーも、彼の、他人に惑わされずに貫く真っ直ぐさがいいと思う。
絵柄もクラシックな雰囲気が良く描かれて上手い。
ただ、所々人物横顔の正面とのアンバランスが気になった。少なくない登場人物の描き分けが分かりやすいため、全体の感じに影響はなかった。
高い爵位を感じさせる邸宅の様子は素晴らしいし、使用人たちとのやりとり、義母との対決シーンもプライドを落とさずに展開されて、ストーリーが起きているのが貴族社会なのだと存分に感じ取れ、舞台装置自体楽しめる。
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