すでに高い評価を得ている作品ですが、実際に全巻を通読すると、作者の「家族」の形に対する深い理解と愛情、なによりも「個人」の幸せを決しておろそかにしない描写に涙が出ます。2000年代に入ってから、「負け犬」や「おひとりさま」など、多くの「生涯未婚女性」に関する本が出ましたが、この作品ほど人がそれぞれ抱える寂しさや、誰かと共に生きることの困難と喜びを伝えるものはないと感じます。還暦を迎えた女性たち三人が、自分たちの選択や人生を受け止めた上で、「いま生きている人たちを幸福にするため」を最優先に生きる姿が、本当に魅力的です。結婚をするかしないか、できるのかできないのか、そんな二択とは別の位相で、他者と生きることを考えられる、素晴らしい作品でした。