一冊目から一転して暗さは吹き飛ばされて、軽いタッチで話はスピード展開。
一冊目の弟クンのジェームズが再登場するも、ひと暴れ出来る頼もしい人間になってしまい、世間知らず甘ったれお坊っちゃま風だった一冊目とは別人のような様変わり。苦労が人を成
長させたのか知らないが、一方兄は悪魔伯爵たる恐ろしさは鳴りを潜め、ヒロインと接触するうちカドが取れて、彼女の意見も尊重する物分かりのよいタイプに。
一冊目で予感はあったが、やっぱりタイトルは単なる脅かしで付いていたに過ぎず、HQだからなんでもかんでも上手く行って、かるーくめでたしめでたし。
この二冊目に入って趣が変わったのは、同じ話で二冊に分かれていることの意味づけになるかもしれないが、コメディに遊びすぎて、悪魔伯爵の何を考えているのかわからない不気味さと、薄く一皮むけてしまった伯爵との間の繋ぎが、私には無理やり切り替えの感があった。
最後の最後までいろいろなことがあるために、落ち着かない作品だが、それを狙ってのドタバタコメディに、謎だらけだった伯爵の、黒い噂の元となった伯父さんの死とか、遊んでた過去とか、実はシリアスに行っても結構なドラマになるところは全部、あっさりスルッと通過した。
どうせコメディ色でやるなら、暗さや黒さや正体不明感満載の前半の悪夢伯爵の根拠の扱いは難しかったろうから、プロポーズシーンのエピソードはなんとも中途半端な気がした。
原作に(私は読んでない)あるのだとしたら、忠実に挿し入れても間違ってはないとは思うが、要らなかった気がしてならない。まして、その事件に至らしめてしまったヒロインの行動は、これ迄の謎解きに活躍したヒロインの頭脳とアンバランス。いくら、好奇心、否、探求心が強いとはいっても。
そのため一巻目の方がキャラそれぞれに味があって、しっかり役目を務めている感じがする。
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