作中でのジェニファーとレーガンの会話が印象に残った。「この世界の男が誠実でいるのはとても難しいんだ」。涙が出る。人気商売なので商業演劇界に身を置いている以上媚を売ることは必然でも、誠実でいられないというのは人間として個を成立はしえないという
ことなのか?確かに俳優であるがために一般的に人には見せない部分も見せることにはなるが、どこまでが許容範囲なのか、それを自分にどこまで耐えさせるのか大きなポイントとなるだろう。それは執着と嫉妬との闘い。愛する人を独占したい人は苦悩が大きくなるのは必然だ。けれど、たいがい独占欲は湧くのであってその度合いが愛情の度合いと考える人は多いと思う。それを”仕事だから”と言い逃れると苛立ちはおこる。けれど事実、仕事だから仕方がない。それをどう折り合いをつけるかがこの物語の云わんとしている事。モテる男女それぞれには言い寄ってくる者がいるわけで、それをどうかわすのか、それは夫婦の決め事次第でもあると考えもする。結局は、愛情の有りかが肝であり、お互いを信じる以外に解決方法が無いというのも喜びではあるが、悲しい。物語りでは、妊娠がきっかけとなって信じるという事を学びハピエンという結論に至っているが、正直に言ってこの決意の維持こそが信じる事が出来ないでいる証明に感じてしまう。だって、信じるのは無意識だから。マテオもジェニファーもものすごいリアリティーのある作品でした。
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