簡単に読めてしまうのに意外なコクがあります。
軽い読み物に見えて、楽しい中にもちょっと強い印象的な面白さが。
紙で買いましたが場所を取らない電書がお勧め。20%超クーポンがあるときにどうでしょう。
美内すずえ先生、木原敏江先生
、樹村みのり先生、三原順先生、くらもちふさこ先生、山岸凉子先生と錚々たるビッグネームの仕事場の話です。作品を通してではない姿を見ている感覚を味わえます。
表に出てこない光景を垣間見せてくれます。それがまた、単なる覗き見、ただのバックステージパス的な遠目での眺め、などに終わっているのではなくて、個々の先生の姿と言葉が、制作の現場に居た事でしか体験できない全くの1個のチーム内の、貴重な記録?、研究家ならば史料のようです。諸先生と笹生先生、あるいは笹生氏含むアシスタントの方々とのやり取りの、他愛ないものから影響を与える言葉まで、作品を産み出した作者像をなんでも知りたいとなれば読まない手はありません。
各キャラが載っていて、先生方が紛れもなく、その情熱、心血を作品に注がれた、創り上げた、ということが伝わります。
私はくらもち先生の楽譜のところやハッピークリスマスのこと、萩尾望都先生のLPレコードの話、山岸先生の天人唐草エピソード、特集号のイラストに悩む三原先生の言葉、樹村先生の創作に対する考え方、などなどについて、笹生先生はあっさり本書を書かれたように見えるのに、意味深長なものを多々感じました。
もっと装丁を豪華にしてよかったのに、と思います。
私は紙の第5刷を入手しましたが、古本屋では第8刷もあったので、読者は相当多いと思われる書籍です。
マンガとして読むというより、制作現場をマンガで読む感じだと、考えるといいと思います。
内容の中に時々入り込んでいる往年の名作の輝きの、その輝きを取り出すためにカットされた原石の残りの部分、形にするために選ばれなかった部分の輝きを、この本で知ることになるのです。
私は、地味な本書が、実は沢山の名作を輝かせてきた力の所以を説明していることに、純粋にそれを知ることができたことに、喜びを感じました。
2021/12/22追記
本日同じ店の在庫は再び2冊!
私はこの頃電書を買い過ぎの為、紙中古本物色中。今月初以来売り切ったか、それともまだ1冊残ってるかな、くらいに思ってたのに、驚きです。サイズ大きいからやっぱ家の置場所問題かな。
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