ウイグル人の身に起きた事を初めて読んだ時、どれほどの衝撃だった事でしょう。まさしく、胸をえぐられるような痛みを味わいました。それでも、私自身、実際自分の身に降りかかった事ではないので、胸をえぐられる痛みと理解しても、本当はわかったつもりにな
っているだけなのです。そして、辛い出来事を受け止める勇気がないと蓋をして、見ないフリをしてしまうのです。だからこのシリーズでいくつかのお話があるにも関わらず、前回、一人の告白しか読めませんでした。この作品のような事実を多くの人に語り伝える事で、小さな力がやがて大きな力を動かすかもしれない。平和に生きる事が出来ている自分が出来る事は、苦しみから目を伏せてはいけないんですよね。どこの世界にでもある理不尽な暴力。それが身体的であったり、精神的であったり様々な暴力が支配したい人間から生まれます。弾圧による非人道的な暴力をなかったものと消し去る事は出来ない。たとえ、微力であったとしても伝える事が繋がればいい。知ろうとしなければ、知らない事実をどんな形であれ知る事が出きるなら、動かなければ始まらないんですよね。
戦争の話にしてもそうです。知っているべき自国に起きた事。戦争体験者が、語り部として次世代にその生々しさを語りついでおられます。ただ、年齢や寿命には勝てず、その語り部人口が減少して来ている一方、戦争を知らない世代であっても、語り部を受け継いでいらっしゃいます。人から人へ受け継がれていく歴史です。誰もが、自分に出来る事を行動に移す力があれば、消える事はないんですよね。
自分に出来る事、色々と考えさせられる作品となりました。
沢山の方が少しでも関心を寄せて頂けたらと願います。
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