まだまだ圧倒的に描かれている数が少ないDom/Subユニバースですが、切り込む手法が限定されているのか、どの作品も同じような展開のような感じがしています。
ですが今作を読んで、この世界に作家さまのセンスと努力で大きく幅を持たせる事ができる
のではないか?と期待が大きく膨らみました。
他作との一番の違いは、成熟している世界でのお話になっている事だと思います。
ダイナミクス絡みの犯罪にきちんと法整備がなされています。これは大きな一歩です。
誹謗中傷やSNSでの拡散に対する企業の社会的責任や個人的悩みについても描かれています。
特殊なダイナミクスが存在する世界に於いて当然起こりうる事象を、自然に物語に組み込んでいるのです。
第二の違いはDom/Subでよく言われる「相性」について、徹底的に解りやすく表現されている事です。
ひとくちにDom/Subと言っても、その欲望の種類にはかなり個人差がある事は、いくつか作品を読めばわかります。
今作はそれをテーマにしているだけあって、人と人の相性が我慢や努力ではどうする事もできないと明確に教えてくれています。
これは現実社会であっても(たとえダイナミクスが存在しなくても)充分に適応される事だと思います。
さてその他の読みどころですが、攻め受けともにキャラ的ギャップが解りやすく萌えやすい事です。
普段はおっとり優しい攻めが、キツいコマンドを容赦なく使うこと。
吐くほど支配されたくない受けが、Subとしては生き死にまで管理されたがっていること。
社会を少し難しくする代わりに、BL的要素は明快にして読みやすく、世界に入り込みやすいです。
加えてえっちシーンは、キツいプレイの割には受け入れやすく描かれています。そしてエロいです。ここ大事!!
今作読了後、今まで読んだ10数作のDom/Subを読み返してみました。
過去には気づかなかった作家さまの努力とひらめきに出会えて、再読して良かったと思いました。
今後、この世界がΩバース並みに限りない広がりを持って我々読者の元に提供されます事を切に望みます。
心から作家さま方の応援をし続けたく思います。
修正はキチンと描かれたtnkに短冊が数本でした。
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