誰もが描けるものではない、銃撃戦、ヘリ、トラック、爆発や決死の脱出劇。ゲリラ戦で民家を避けて逃げ歩く日々。
描写対象がHQのなかでは特異なほうなのに、そこがしっかりと伝わってくる力。
牧師であるヒロインが、同業者から諭される場面は、もし
もシチュエーションが僅かに異なったら現場であなたはどうしていたかを、問題提起して、そんなところも、他のHQに無い魅力。
戦地で出会って、究極の生存本能の発揮であるロマンスといったらみもフタも無いだろうが、平地でヒラ場で出会わない二人を描いて、題材の興味は随所にある。
武器や戦闘関連の描写の方に、時間と労力を大いに割かれたようで、人物がいつもより簡単に流されたような箇所がいくつか感じられ、もっとメインキャラの絵は時間が掛けられたらいいのにと思った。
彼はこれから何して生きていくのだろう。作品中、ヒロインに、彼が有能であることを語らせて、読者へのケアはしてくれているが。
西洋物の物語や映画では、名前を相手が正しく読んでくれない、気にしてない、または、覚えていない、という場面を何十回も付き合わされているが、この非常時で、というところに驚かされた。これは、HQでは私には初めてのシーン。わざわざそんな時に展開させたのは、そのワンパターンへの皮肉だったのかと思えるくらいだ。
エイダさんの無事を確かめられるのは嬉しい結末だが、三部作完結編で、終盤まとめの部分が長く感じる。
慌ただしい戦地と病院が終わったら本作のメインが霞んだのは、二人の世界の余韻に浸れず心残りだった。
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