「ファイブコナーズコーヒー」のスピンオフ、コーヒー店元アルバイトで公彦に片想いしていた敬太が幸せになるまでのお話。
前作では公彦への切ない片想いだった敬太。そんな敬太の大学の友達理一と、意外な場所で会い、お互い体で励ましあったことをきっか
けに、グッと距離が近づき付き合うことに。当初は理一の片想いだったものの、敬太の好きがどんどん大きくなる過程が良く伝わってきます。
付き合い始めてからすぐに遠距離だったこともあり、会った時のいちゃいちゃラブラブっぷりには幸せな気持ちになりました。公彦との時は大人の対応をしていた敬太も、理一といると年相応で、何だかのびのびとしているように感じます。また、無表情気味と言われていたけど、敬太の表情からは楽しさや好きが伝わってきて、二人の相性の良さがうかがえました。
こんなに想い合っている二人なのに、カミングアウトという問題が大きな壁になり、ぶつかっていくことに。オープンなのかクローゼットなのかという違いだけでなく、都会や田舎という環境面や家族との関係性なども関わってくると思うととても難しい問題で、どちらが正しい等一概に言えないと思いました。ただ、理一がプレッシャーを感じて爆発してしまった時は本当に胸が苦しくなりました。理一が覚悟が決まらずに悩んでいることを追い込まれるように感じる気持ちも分かるし、敬太がただこれからも一緒にいたいという深い愛情を伝えたいだけだという切なさも伝わってきました。離れていた時間、未読でも送り続けるメッセージと毎日をきちんとしようとする敬太の生活は切なさの極みでした。前の恋の辛さを知っている読者としては、もっとすんなりと幸せにしてあげて欲しかったなぁと思ってしまったくらいでした。なので、理一が会いに来てくれた時は涙が止まらなかったです。
結果的に各々が感情的に行動した結果の一つ一つが将来に繋がっていたかと思うと、きちんとお互いに向き合えて良かったなと思いました。二人には話し合う時間が足りなかったのだろうと思います。時間はかかったかもしれませんが、敬太と理一が当たり前に隣りにいること、二人が幸せそうにしている姿が見られて本当に良かったです。
とても難しい問題を丁寧に描いてくださった作者様に感謝します。
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