企業買収を結婚と喩える人は多いけれど、相手企業の価値が重要と思う。簡単にあっちとこっち、フラフラ結婚相手を迷うように、しかも、簡単に手玉にとれる、そんなストーリーは、私にはどうも安易な筋立てに感じる。
叔父さまのことも、気づく気付かれない
のところ、そんなはずはないだろうって、読んでいてなんかなぁという印象。
そして、何だかヒロインの容姿もこどもっぽい。このような小娘に振り回される、その説得力もっと。
サルヴァトーレ一族を陥れた一件も、事件そのものは別として、業界上位企業のあの動き。ヒロインの会社も、ライバル企業も、上級経営者に、属する人間が割と気軽に出入り、頻繁に接触。皆狭いところでごちょごちょとやるものだから、嘘臭さが満開で、真剣に読めなくなりそうだった。
舞台が大舞台らしいスケールを読み手の私に感じさせない事が、この作品に逆に小粒感を決定付ける。企業買収の話が仮にリアリティがあったとしても、男と女のストーリーとして、いまいちロマンス成分にふくよかさが無い。
原作の設定などにも無理はいろいろあったか知れないが、絵でせめて騙されたかった。ストーリーに柱となる二人の感情、彼の誠意は無い事はないが、肝心のヒロインのふわふわフラフラが、彼女の悩みや苦しさと共存せず、といって、切羽詰まって自暴自棄というのとも違うのはわかるしで、あまり動かされなかった。
「この結婚が偽りだと思っていたのは君だけだよ」のところだけが胸にストンと来た気がする。
もっとみる▼